Enterprise Watch
最新ニュース

米MagiQ Technologies、世界初の量子暗号製品を出荷開始


 米MagiQ Technologiesはこのほど、量子暗号を採用した暗号化装置「Navajo Secure Gateway」の出荷を開始したと発表した。既存機器に追加して、“盗聴不可能”な強力なセキュリティを実現できるという。量子暗号機器の製品化は世界初としている。

 Navajo Secure Gatewayは、データを量子暗号の鍵を配送する「QKD」(quantum key distribution)システム。データ回線のほかに光ファイバー回線の量子キー・チャンネルを設け、Navajo Secure Gateway機器同士を接続。量子キーを送信してゲートウェイでデータの暗号処理を行う。キーのリフレッシュは毎秒最大100回。接続は120kmまでの距離で有効という。

 システムは既存の3DES、AES暗号を組み合わせて使うことが可能で、「デジタルコンピューティングにどのような進歩があろうとも、量子暗号は決して解読もコピーもされることはない」(Bob Gelfond CEO)という。

 量子暗号通信は、通常の光通信が多くの光子をまとめてデータを付与するのに対し、一個ずつの光子にデータを付与する。このため、盗聴などが行われた場合、「量子を観測すると、その量子の状態は必ず影響を受ける」というハイゼンべルクの不確定性原理に基づいて変質する。

 従来の暗号方式は、解読に時間がかかるキーを使って、セキュリティを確保する仕組みだが、コンピュータの性能能力の向上などによって破られる可能性が残る。これに対し、量子暗号は、盗聴の試みがあったことがただちに判明するため、完全に盗聴を防止でき、また原理的に改ざんも複製も不可能とされている。



URL
  MagiQ Technologies
  http://www.magiqtech.com/index.php
  Navajo Secure Gatewayのリリース(PDF、英文)
  http://www.magiqtech.com/press/Magiq_Navajo_Launch.pdf
  Navajo Secure Gateway(PDF、英文)
  http://www.magiqtech.com/press/navajo.pdf


( Infostand )
2003/11/10 10:07

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.