米VERITAS Software主催のカンファレンス「VERITAS VISION 2004 Las Vegas」が5月4日(米国時間)より開幕した。サブタイトルに「Utility Now」と題されたこのカンファレンスでは、2003年に発表したITリソースを水や電気のように使った分だけ課金する「ユーティリティコンピューティング」をはじめとする同社の取り組みについて語られる模様だ。初日には会長兼CEOのゲイリー・ブルーム氏が基調講演を行った。
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会長兼CEO ゲイリー・ブルーム氏
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1年間でアップデートが行われた製品。太字がユーティリティコンピューティングに深く関わる製品
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同氏はまず先日発表された2004年第1四半期の業績で、前年比24%増となる4億8,700万ドルの売上を達成したことに触れ同社の好調さをアピールした。さらに「売上の16~19%をR&Dに投資」し、「最近12カ月でほとんどの製品の大きなアップデートを行ってきた」と、ユーティリティコンピューティングの実現に向けた製品開発が着々と進んでいることを強調した。
同社はストレージなどのマネジメントソフトウェアを中心とした製品展開を行っているが、それらの大きな特徴が、特定ベンダーのハードウェアやソフトウェアに依存せず、ヘテロジニアスなシステム環境に対応する点だ。そして、「ユーザーのほとんどが単一ベンダーよりも複数ベンダーの製品を組み合わせたシステムの方が、ITリソースを有効活用でき費用対効果が高いと考えている」(同氏)。しかし、システムの規模が大きくなり多種にわたるハードウェアやOS、アプリケーションが混在すると、それらの管理が難しくなる問題がある。同氏は「多くの企業でストレージやサーバーの数、それらを管理する人員まで把握できていない」と指摘する。
そこで、それらリソースの仮想化と単一コンソールでの集中管理を実現することで、管理コストだけでなく、リソースの共有や可視化による全体的なコスト削減と効率的運用が可能になるという。これらのツールはストレージなどを提供しているベンダーからも製品化されているが、同氏は「ベンダーに依存せず統合的に管理・運用できるのはVERITASだけ」と優位性を強調する。さらに「管理ツールを出すIBMやHPなどとはソフトウェアで競合しながらもハードウェアでの協業は可能だ」と付け加えた。
しかし一口にITリソースといっても、企業ではネットワーク、サーバー、アプリケーションなどさまざまなリソースが利用されている。同社のユーティリティコンピューティング構想では研究開発のほか企業買収などによりあらゆるリソースのユーティリティ化を目指しているが、同氏は「あるパッケージソフトを買ってインストールすればできるものではなく、それぞれのリソースに対応したツールを組み合わせることで順々に実現していくもの」と、今すぐすべてをユーティリティ化できるものではないことを説明する。
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ユーティリティコンピューティング実現へのマトリックス
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同社では管理の難解性や重要性、投資効果から「ストレージがユーティリティ化に一番近いリソース」とし、ここからユーティリティ化を始めることを勧めている。そして同日、ストレージの管理・運用ツールの最新版「CommandCentral Storage 4.0」、さらにアプリケーションの可用性を監視する「CommandCentral Availability 4.0」を発表した。両製品は7月よりワールドワイドで発売予定で、価格は20,000ドルから、CommandCentralファミリ全体で64,000ドルから。なお、日本での発売は現在のところ未定となっている。
昨年の同カンファレンスでユーティリティコンピューティングへの取り組みが発表されてから1年で具体的な製品の発表まで持ってきた同社だが、ITリソース一通りのユーティリティ化実現までは、まだ時間が必要な模様だ。ブルーム氏は「必要な研究開発や企業買収などは今後も続ける」とし、今後もユーティリティコンピューティングへの取り組みを積極的に行う姿勢を見せた。
■ URL
米VERITAS Software
http://www.veritas.com/
プレスリリース(英語)
http://www.veritas.com/news/press/PressReleaseDetail.jhtml?NewsId=61996
( 朝夷 剛士 )
2004/05/06 00:00
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