「VERITAS VISION 2004 Las Vegas」において5月6日(現地時間)、米Sun Microsystems(以下、Sun)CTOのGreg Papadopoulos氏が基調講演を行い、ネットワーク化とユーティリティコンピューティングによる将来のITについて語った。
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米Sun Microsystems CTO Greg Papadopoulos氏
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同氏は、ストレージやサーバー、アプリケーションなどのITリソースを水や電気のように利用した分だけ課金される「ユーティリティコンピューティング」を、「“ITに必要な機器を買う”から“機器の動作を買う”といった、ITに対するコストの考えを大きく変化させ、多くの企業のビジネスモデルにも影響を及ぼすもの」と説明する。企業においてのユーティリティモデルの大きな利点は、サーバーなどの資産を所有せず、必要以上のコストを支払うことがないことだ。
続けて同氏は、このようなイノベーションの実現にはオープンなインフラが必要不可欠だと語る。そしてこれまでのITでよくなかったことの一つとして、ある開発環境で作成されたアプリケーションが異なるCPUやOS上で動作しなかったことを挙げ、「今後Javaと.NETの二つのインターオペラビリティを考えて行かなくてはならない」とし、先日発表されたMicrosoftとの協業によって期待される効果を説明した。「差別化はプラットフォームなどではなくもっと上のレベルで行われるべき」(同氏)。
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ネットワーク化がコンポーネントを分散させるという「ネットワークエントロピー」
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携帯電話などに搭載される各機能は分散される
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ところでユーティリティコンピューティングは、いつでもネットワークに接続できる環境であるからこそ成り立つわけだが、ネットワーク化はソフトウェアやハードウェアの構造にも大きな変化を及ぼしていると同氏は述べる。それによると、出力装置やストレージ、ソフトウェアなど、現在一つのデバイスを形成している各コンポーネントがネットワーク化によって物理的に分断されるという。そして現在の携帯電話のように一つのデバイスにさまざまな機能が集約されるのではなく、それぞれの機能に特化した小さなデバイスがネットワークで有機的につながると同氏は予測している。「そしてテクノロジーを一般の人が身につけるときにはファッション性を持つ。現在ではAppleのiPodがそれに近いかもしれない」(同氏)。
さらに、それら小さなデバイスがいつでもネットワークにつながることができると、新しいビジネスにもつながると同氏は語る。「例えばお金をたんすに入れておくことから銀行に預けるようになったように、写真をデータセンターに預けておき、いつでもどこでも確実に閲覧できセキュリティが保てれば、ひと月に1ドル程度の料金がかかっても利用する人はかなりいるのではないだろうか」。同氏はこのような例を挙げ、ネットワークインフラの充実に伴って必然的にストレージをはじめとしたITリソースのユーティリティ化が進むこと、それに応じたビジネスが生まれることを予想した。
同氏は最後に現在のコンピューティング環境を「産業革命直前の段階」とし、今後さらに大きな変化が起こるという同氏の見解を示し、講演を締めくくった。
■ URL
米Sun Microsystems
http://www.sun.com/
( 朝夷 剛士 )
2004/05/10 12:42
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