Enterprise Watch
最新ニュース

「いずれMicrosoftにとって代わる日が来る」Novellが王座奪回に意欲

VERTAS VISION 2004 Las Vegas 基調講演

 「VERITAS VISION 2004 Las Vegas」において5月6日(現地時間)、米Novell Vice ChairmanのChris Stone氏が基調講演を行い、Linuxとオープンソースの優位性について語った。


米Novell Vice Chairman Chris Stone氏
 同社はSUSE LINUXの買収以来、Linuxやオープンソースへのコミットメントを強調しており、以前にNetWareを中心としていた時期に比べて非常に積極的にマーケティング活動を行っている。特に同社はかつてNetWareがMicrosoftによってネットワークソフトの中心の座を追われた影響もあるようで、「35才以下の方はNovellの名前を知らない人もいるようだが…」と笑いを誘いながら、講演は終始Microsoftと比較したLinuxとオープンソースの優位性が語られた。

 「当社は3月31日にMicrosoft Officeのライセンスをすべて終了させた。また、10月にはWindowsもすべて終了し、SUSE LINUXとOpenOfficeで業務を行う。Microsoft抜きで業務が行えることを証明できるのだ」と、同氏は冒頭から強調し、デスクトップにおいてMicrosoft製品からLinuxへの移行を強く推奨した。

 過去10数年から現在においてMicrosoft製品が企業や個人のデスクトップ環境で事実上標準として変わっていないのは明らかだ。しかし、オープンソースやLinuxへの注目度はここ数年、大きく変化している。「5年前はどこも“オープンソースは商売にならない”と関心を持っていなかった。当社を含めたプロプライエタリなソフトやハードを作ってきたベンダーが現在のオープンソースを必要とする環境を作ってきたのだ」(同氏)。

 オープンソースのソフトウェアにはプロプライエタリなソフトに比べていくつかの懸念事項がある。中でも基本的な部分が無料であるがゆえに性能が劣るのではないかと考える人は多いはずだ。同氏はこれに対し「オープンソースソフトウェアは全世界で9万近い技術者によって常に管理されており、クオリティはプロプライエタリなソフトに確実に勝っている」と強調する。さらに基本が無料なだけに各用途向けへのカスタマイズやサポートに予算を割くことができるため、同じコストでさらに上質なソフトの開発やコスト削減が可能と説明した。

 さらに同氏は、「Linux環境はMicrosoftのような“しばり”がないため、ベンダーの対応が悪いとユーザーはすぐに他の環境に移ってしまう。そのため各ベンダーは品質と顧客満足度の高い製品やサービスを維持しようとする。アップグレードも強制されることはないため、ベンダーに税金を払う必要もない」と続け、現状のMicrosoft製品の問題を突きながらLinuxの優位性を強調した。


 それでは以前に「商売にならない」としていたベンダー側がLinuxを採用している背景は何だろうか。同氏は「IBMやHPなどがLinuxへの対応を強化する理由の一つは、ハードウェアやサービスとセットにした提供が行いやすいから」と分析する。さらに「カスタマイズが容易で機能やサポートなどでベンダーならではの差別化が行いやすい。Linuxソフトベンダーは製品を売るだけでなく、メンテナンスやサポートなどから利益を得ている」という。

 しかし同氏もLinuxがMicrosoft製品をすぐに覆してしまうことは現実的ではないと考えているようで「重要なのはユーザーの利益であって、そのためにオープンソースとプロプライエタリはしばらくの間、競合しつつお互いを補完し提供する価値を高めていかなくてはならない」と語る。しかし「いずれ標準もとって代わる日も来る」と、最後まで対Microsoftの姿勢を崩さなかった。



URL
  米Novell
  http://www.novell.com/


( 朝夷 剛士 )
2004/05/10 20:23

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.