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米CAのCTOが語る、CA Enterprise Infrastructure Management戦略

caworld 2004 基調講演

CTOのYogesh Gupta氏
 米Computer Associates(以下、CA)が主催する年次カンファレンス「caworld 2004」は2日目を迎えた5月24日(米国時間)、CAのCTOであるYogesh Gupta(ヨゲッシュ・グプタ)氏のkeynoteでスタートした。

 同氏は1989年から15年の長きにわたってCAにあり、このところ経営陣に多少の混乱も見られる同社の中にあって、文字通り製品戦略、技術戦略を支える中心人物となっている。Keynoteではこれまでの製品戦略、ブランド戦略を大きく変える新たなマネジメントソフトウェア戦略と具体的なコンセプトである「CA Enterprise Infrastructure Management」の内容が明らかにされた。

 Gupta氏はKeynoteの冒頭、「今、ビジネスに対する顧客やパートナーからの要求などでさまざまな変化があるが、企業がこれに対応するには革新しかない。そのため、われわれはITインフラ管理、オペレーション管理、ストレージ管理、ライフサイクル管理など、すべての分野で革新的なソリューションを提供している。具体的には、われわれはこの2年間で従来の3倍ものパテント特許を取得している」と、CAはこうした現在のビジネス上の課題である革新を担えるソリューションカンパニーであることを強調した。

 その一方で、ITは基本的に複雑であることもGupta氏は理解しており、次から次に新しいデバイスが登場してくることに対応するのがいかに問題か、また、その複雑を解決するためにはコストがかかり労働集約的な業務になっていること、基本的に脆弱性があること、さらには悪意のアタックがあること、多くのシステムがネットワーク化されていること、そしてIT組織は結果的に膨大なバックログを抱えているなどを現在の大きな問題であると指摘した。

 企業はこうした問題にいかに対応するのか。

 Gupta氏の結論は「マネジメントという考え方で対応していかなければならない」というものだった。マネジメントというひとつの規律によって、統合や標準化、資産の最適化、仮想化、サービス指向型のアーキテクチャ(SOA)によってこれに対応すべきだというのが彼の考えであり、結論であった。そしてGupta氏は、マイクロソフトのExchangeを例に挙げて、その複雑さを解消するためのマネジメントの必要性を強調した。

 また、現在、企業が多くの関心を払っているOn Demand Computingにもマネジメントが重要であるというのがGupta氏の考えだ。


CA Enterprise Infrastructure Management

デモを交えて説明するGupta氏
 そこで、企業はどのようなシステムを構築すべきなのか。それが今回のcaworld 2004でも盛んに強調された「CA Enterprise Infrastructure Management」というコンセプトである。

 すべてのハードウェア、ソフトウェア、すべてのアプリケーション、リソース、ポリシーが中央のMDB(Management Database)の中に定義されており、そのまわりにマネジメントの機能が位置する。それはOperations、Storage、Security、Lifecycleという4つの機能だ。

 OperationsはいわばUnicenterの分野であり、ビジネスプロセスからインフラまでをマネジメントするものだ。Gupta氏はそのうち、Webサービスについてデモを交えて説明した。

 つぎはStorage管理の分野で、データが必要なときに可用性をもって管理されなければならないという。製品ではBrightStorが該当する。3つ目はSecurityであり、CAは特にアクセス管理のリーダーであり、これをWebサービスの中に統合している。さらに、Securityではワイヤレス環境のマネジメントも重要であると指摘し、CAが製品として提供しているWireless Site Managementのデモを、タブレットPCを使って行った。

 4つ目はLifecycle Managementであり、CAはアプリケーション開発のライフサイクル、バックログのマネジメント、変更管理などを可能にするソリューションを提供している。

 そしてGupta氏は「この4つがCA Enterprise Infrastructure Managementの機能であり、それを支援するのがService Managementである。これはサービスをユーザーにうまく、効率的に管理するのが提供する機能であり、ITをビジネスとして提供するものだ」と語った。

 それについても、Service Managementの主任開発者がステージに登壇してデモを行った。また、新たな製品であるAsset Intelligenceについても、担当者によるデモでその内容の一端を紹介した。

 「企業が抱える複雑さに対応できる、こうした新しいソリューションを私たちはOpen Innovationと呼んでいる。いわばOpen Sourceであり、これに関しては100万人の開発者が関わっている。今、Apacheサーバーが1,000万台あり、それがビジネスを立ち上げている。またLinuxのサーバーは300万台に達しており、ベンダーは毎月12万台のLinuxサーバーを出荷している。これは無視することができない大きな動きであり、CAとしてもこうしたOpen Sourceコミュニティに対応している」

 Gupta氏は最後に、CA Enterprise Infrastructure Managementを特にOpen Sourceの環境において実現していくことを強調した。また、マネジメントソフトウェアを提供するには製品だけでなく、CAが持つ永年の実績、人材、パートナーであるとも指摘した。



URL
  米Computer Associates International, Inc.
  http://www.ca.com/


( 宍戸 周夫 )
2004/05/25 19:10

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