米Appleは6月28日(米国時間)、サンフランシスコで開催している開発者向けのイベント「WorldWide Developer Conference(WWDC)2004」において、2005年上半期より提供予定の次期サーバーOS「Mac OS Xバージョン10.4“Tiger”Server」と、統合開発ツールの次期メジャーリリース版「Xcode 2」をプレビューした。
■ 次期サーバーOS「Mac OS Xバージョン10.4“Tiger”Server」
“Tiger”Serverは、64ビットアプリケーションの動作をネイティブでサポートするため、「Xserve G5」との組み合わせにより低コストでの64ビット環境構築が可能になる。
オープンソースプロジェクト「Blojsom」をベースとした新機能である「Weblog Server」では、Mac OS X Tigerの「Safari RSS」をフルサポートしており、Server Admin内のチェックボックスを選択するだけでウェブログのホスティングが可能になる。またカレンダーベースのナビゲーションと、カスタマイズ可能なテーマも提供されるほか、Kerberos認証とLDAPが統合されているため、ユーザーはXML-RPCあるいはAtom APIに対応したウェブログクライアントを使ってエントリーが作成できるという。
iChat Serverでは、Kerberosを使って認証し、ネットワーク内のコミュニケーションをSSL/TSLにより暗号化するため、その機密性を確保できる。またiChatビデオカンファレンスソフトウェアや、主要なPDAが採用しているJabberクライアントでの利用にも対応する。
また“Tiger”Serverは、Windowsクライアントのプライマリドメインコントローラの機能を持っており、ホームディレクトリ、グループフォルダ、ローミングプロファイル、共有プリンタのホスティングが可能だ。ユーザーとグループアカウント情報を、Windows NT ServerのActive DirectoryからMac OS X Serverで採用されているLDAP互換のOpen Directoryへ移行するツールも備える。
さらにモバイルユーザーがどこからでもファイルや環境設定にアクセスできる「Mobile Home Directories」、システム用のソフトウェアアップデートを配布するプロキシ/キャッシュサーバーを設定できる「Software Update Server」、フォルダ、ネットワークサービスへのアクセス権限を設定する「Access Control List」、DHCP、NAT、DNS、ポートルーティング、小規模事業所やSOHOユーザー向けのファイアウォール、VPNサービスといったネットワークサービス設定ツール「Internet Gateway Setup Assistant」など、200以上の新機能を搭載している。
また128のエージェント、1万の待機ジョブ、ジョブ当たり1万のタスクに対応可能なクラスタリングソフトウェア「Xgrid 1.0」も新たに統合した。
■ 次期統合開発ツール「Xcode 2」
Xcode 2は、Mac OS Xバージョン10.4“Tiger”に同梱され、2005年上半期より提供が予定されているUNIXベースの統合開発環境。64ビットでのメモリアドレッシングに対応し、データ処理主体のデータベースをはじめとした64ビットアプリケーションの開発が可能になった。
米AliasのMaya Engineering担当ゼネラルマネジャー、Kevin Tureski氏によれば、「14,000以上のソースファイルや何百万行ものC++コードを使った独自システム、200MBの最適化された実行ファイルとライブラリから構成されるMaya製品を完全に統合した開発が行える」という。
グラフィカルなUIとFix and Continue、Zero Link、Distributed Buildといった従来からの機能をベースに、未使用の実行可能コードをコンパイル済みアプリケーションから取り除いてコードサイズを縮小する「Dead Code Stripping」、アプリケーション構造の視覚化が可能な「Visual Modeling and Design」により、開発期間の短縮も可能になるという。
このほかオンライン/ローカルで提供される開発者用ドキュメントを一括検索できる「Apple Reference Library」、リモートで実行中のフルスクリーンアプリケーションにおけるデータのデバック情報を表示できる「グラフィカルリモートデバッギング」、ソースコードの修正なしに、Velocity Engine用に最適化したコードを自動生成できる「Auto Vectorization」、クロスプラットフォーム向けJavaアプリケーション開発を容易にするAntのビルドシステムサポート、CVSやPerforceに新たに対応したことで開発インフラの統合がさらに容易になった「Subversion Source Code Management」などの新機能がある。またコンパイラ「GCC v3.5」を独自に拡張して搭載している。
■ URL
米Apple
http://www.apple.com/
WorldWide Developer Conference 2004
http://developer.apple.com/wwdc/
プレスリリース(“Tiger”Server)
http://www.apple.co.jp/news/2004/jun/29tigerserver.html
プレスリリース(Xcode 2)
http://www.apple.co.jp/news/2004/jun/29xcode2.html
( 岩崎 宰守 )
2004/06/29 20:37
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