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OSDL、Linuxカーネルのテスト環境をバージョンアップ


 米Open Source Development Lab(以下、OSDL)は8月19日(米国時間)、Linuxカーネルのテストサービス「STP(Scalable Test Platform)」のメジャーバージョンアップを発表した。

 STPは、Linuxカーネル開発において、パフォーマンスやスケーラビリティのテストをさまざまなハードウェア上で実行可能なプラットフォーム。変更されたコードを検証し、パフォーマンスも自動的にトラッキングするほか、安定性についても定量的に評価する。このため企業では、カーネルパッチ適用後のシステムや、固有のLinuxシステムについての安定性やパフォーマンスの検証が可能となる。

 最新版であるVersion 3.0では、MySQL、PostgreSQL、SAPDBといったオープンソースデータベースやsysstatといったアプリケーションのワークロードによる影響、またLinuxカーネルを用いたデータセンター環境をシミュレートできるよう機能が拡張されている。またPPC、PPC64、SPARC、SPARC64、x86-64(EM64T、AMD64)、Alphaの各CPU環境を新たにサポートしている。

 STPは、LTP、reaim、tiobench、iozone、dbt1、dbt2、dbt3などのテストを使ってメインカーネルツリーやクリティカルなサブツリーのテストを自動化できるほか、特定のカーネルツリーにパッチをアップロードすることで、独自に変更を加えたカーネルに対するテストも行える。テスト環境は8Wayサーバーまでの構成に対応し、複数テストのリクエストが可能だ。テストデータはOSDLのWebサイトで公開される。

 2003年末にリリースされた安定版のLinuxカーネル2.6への移行開発フェーズの際には、STPを用いて毎月平均1000件以上のテストが行われた。またそれ以降もカーネルのリリースごとに自動的にテストされており、その回数は10000件以上にも達している。テスト結果はOSDLのWebサイトに掲載されている。



URL
  米Open Source Development Lab
  http://www.osdl.org/
  プレスリリース(英文)
  http://www.osdl.org/newsroom/press_releases/2004/2004_08_19_beaverton
  STP (Scalable Test Platform)
  http://www.osdl.jp/lab_activities/kernel_testing/stp/
  Project: Scalable Test Platform
  http://sourceforge.net/projects/stp/

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( 岩崎 宰守 )
2004/08/23 15:46

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