調査会社の英Quocircaはこのほど、欧州地区におけるグリッドコンピューティングの実態調査「Grid Computing in Europe」を発表した。グリッドコンピューティングへの理解は進んでいるものの、引き続き、認知を広めることが課題となっているという。
調査は、米Oracleの依頼で、欧州企業603社を対象にグリッドコンピューティングについての認知や理解、実装状況、メリットなどの項目について聞き取り調査を行い、6点満点で評価したもの。グリッド展開の技術的下地となるサーバー統合は5点となったが、コミット度は2点を下回るなど、グリッドの実装はまだ初期段階であることが分かった。総合評価は3.1点となっている。
4分の1の企業が、リソースのプーリングや仮想化といった土台のコンセプトを理解しており、5分の1の企業が何らかの形でプーリングや仮想化を実行しているという。グリッドの導入に前向きなのは、財務や通信など大規模なシステムを持つ企業だった。同社では、「グリッドがメインストリームの企業システム分野に導入されたのは比較的最近だが、グリッドの理解は着実に進んでいる」と評価している。
今後の課題は、認知度の向上。レポートでは、「グリッドはITが(電気や水道のように配信される)ユーティリティになるために不可欠」として、認知や理解を広げていくことがまず重要だとしている。今後、半年ごとに同じ内容の調査を行い、推移を観測していく。
一方、欧州連合(EU)は9月7日(現地時間)に、グリッドに関連した12のプロジェクトに5200万ユーロの資金提供を行うことを明らかにしている。欧州委員会(EC)はグリッドを“明日のインターネット”と位置づけ、「学術界から産業界にグリッドを拡大することは欧州の競合優位性につながる」として、積極的に推進していく意向を示している。
■ URL
英Quocirca
http://www.quocirca.com/
「Grid Computing in Europe」(英文)
http://www.quocirca.com/report_grid_2004.htm
欧州連合のリリース(英文)
http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/04/1072&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
( Infostand )
2004/09/13 10:08
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