12月9日(米国時間)まで米サンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld」において、2004年に米HPから移籍し、米Oracle On Demand担当エグゼクティブバイスプレジデントに就任したユルゲン・ロットラー氏に話を聞いた。
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米Oracle On Demand担当エグゼクティブバイスプレジデント ユルゲン・ロットラー氏
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米Oracleでは、これまでも「Oracle Outsourcing」として、米テキサス州オースティンのデータセンターから企業にアプリケーションリソースを提供、その管理を請け負う事業を行っていたが、その拡大に伴い「On Demand」へと名称を変更。米HPでアウトソーシング事業を担当した同氏が、新たに担当エグゼクティブバイスプレジデントへと就任した。
「管理は開発とかなり違う。運用管理のキーポイントは、顧客理解とテクノロジーの活用だ」としたロットラー氏。「ISVとしてソフトウェアの開発とサポートが中心だった米Oracleにも、新しい意識が必要になる」と今後の取り組みを示唆した。
そして「今日現在、顧客の多くは新しいテクノロジに対する期待を持っておらず、ビジネスの課題解決を求めている」とした同氏。「IT企業はこの点を忘れがちだ。ニーズを的確に把握して、顧客のために製品を提供する視点が重要だ」とした。さらに「顧客はこうしたサービスへと目を向けている。ISVであるOracleでは、技術を誰よりもうまく管理できると信じており、ここにビジネスチャンスがあると考えている」と述べ、「このような月額課金のビジネスモデルは、業界の発展に大きな影響を与えている」とした。
そして今後はOracle E-Business Suiteについて、「On Demand環境向けの要件を集約し、必要なツールについても開発部門へと働きかけていく」とした。また「ソフトウェアライセンス収入への影響はあるだろうが、ラテンアメリカでの導入など、長期的にビジネスをグローバルにすると理解している」と述べた。
最後に同氏は、「Oracleにとって大切なのはビジネスの成長ではなく、業界の変革に貢献し、オンデマンドを可能にすること。その提供はOracle自身でもパートナーでも構わないと考えている」とした。
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日本オラクル株式会社 代表取締役社長 新宅正明氏
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なお日本オラクルでは、新日鉄ソリューションをはじめとしたパートナーのデータセンターを利用してソフトウェアを月額課金で提供する「オラクル・オンデマンド」として、主に中堅規模の企業をターゲットに事業を展開している。
他のアジア諸国では中小企業向けの製品戦略として、低価格ライセンスのEBS Standard Edition Oneを展開しているが、日本オラクル株式会社 代表取締役社長 新宅正明氏は、「国内では独自の機能性を持ったレガシーシステムが現在でも広く利用されており、複雑になるため適用の難しい面がある。アプリケーションセットのすべてではなく一部を、スタートアップの企業へオンデマンドの形態で提供することを考えている」とした。
■ URL
米Oracle
http://www.oracle.com/
Oracle OpenWorld
http://www.oracle.com/openworld/
( 岩崎 宰守 )
2004/12/13 18:08
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