Enterprise Watch
最新ニュース

米IBM、500件の特許をオープンソース開発者に無償提供


 米IBMは1月11日(米国時間)、自社が所有するソフトウェア特許500件をオープンソースコミュニティに開放し、無償で使用を認めると発表した。Linuxなどオープンソースの開発では、特許問題が阻害要因となることが指摘されているが、IBMは、今回の決断により業界全体の流れを変えることを狙う。

 個人や団体、企業が対象で、「Open Source Initiative(OSI)」のオープンソースソフトウェア定義を現在および将来にわたって満たすソフトウェア開発に携わることが条件。開発者はライセンス料を支払うことなく、IBMが開放した特許を利用できる。提供する技術はダイナミックリンクやファイルエクスポートなど、広範な分野にわたる。同社のWebサイトで技術情報を公開している。

 オープンソースは、開発者が自分の技術・知識を持ち寄り、プロジェクトに無償で貢献するという手法をとり、外部者にソースコードの閲覧、使用、修正などを認めている。だが、OSやデータベース分野などでオープンソースの採用が広がるにつれて、特許などのIP(知的所有権)の侵害が問題となり、訴訟に発展するケースも出ている。

 IBMは米国で最大の特許所有企業でもあり、自社特許の一部開放に踏み切ることで、業界全体で利用できる“共有特許”土台の構築促進を狙う。技術および知的所有権担当上級副社長のJohn E. Kelly氏は「イノベーション経済(技術革新がけん引する経済)構造では、知的所有権の所有者は行動の自由と収益を生む以上のものとして利用すべきだ」と述べ、技術革新と相互運用性を促進していきたい考えを表明した。

 同社は2004年に3248件の米国特許を取得して、12年連続で特許取得数ナンバー1の地位を維持しているという。同社がソフトウェア分野で有する特許数は1万件を上回ると言われている。また、同社は昨年8月、Linuxカーネルに対して、自社の特許を行使しないと宣言していた。



URL
  米IBM
  http://www.ibm.com/
  対象特許技術情報(PDF)
  http://www.ibm.com/ibm/licensing/patents/pledgedpatents.pdf


( Infostand )
2005/01/12 09:59

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.