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スパムによる米国の損失は年間215億ドル超


 米メリーランド州立大学が2月3日(米国時間)発表した調査「2004 National Technology Readiness Survey」によると、米国のインターネットユーザーの78%がスパムメールを受信しており、スパム処理に費やす時間を賃金に換算すると年間約215億8000万ドルの損失になるという。根本的な対策が急務としている。

 調査は、メリーランド州立大学カレッジ・パーク校ロバート・H・スミス経営大学院のCenter for Excellence in Serviceとマーケティング企業の米Rockbridge Associatesが毎年実施しているもの2004年版。技術への関心や態度を聞くもので、モバイルコマース、電子政府などとあわせて、スパムを取り上げている。米国の18歳以上の男女1000人を対象に2004年10月に聞いた。

 調査は、スパムを「望まないのに送られてくる」と「送信者は知らない相手で、同時に複数に送られている」の2つに該当するものと定義。消費者の対応状況を聞いた。それによると、全体の78%は少なくとも1日に1通以上受け取っており、「40通以上」も11%あった。

 受信したスパムの削除は、「毎日行う」が最も多く27%。1日あたりの削除時間は「0~30秒」が28%でトップ、次いで「1~5分」の26%だった。平均では1日に2.8分がスパム削除に費やされており、全成人オンラインユーザー数(約1億6900万人)で計算すると、計週2290万時間(年間で11万9000時間)となる。これを平均賃金に換算して、スパムによる損失は年間215億8000万ドルとした。調査では、スパムの送受信によるネットワーク帯域の損失やISPのコストなどを計上していないため、「控えめな数字」としている。

 また、受け取った人の14%が開封しており、「過去1年間でスパムメールを通じて製品やサービスを購入したことがある」と回答した人は4%いた。

 スパム問題は深刻化しており、米国では2003年に連邦法「CAN-SPAM法」が制定されたほか、独自のスパム禁止法を設けている州も多い。また、米Microsoftや米America Online(AOL)などは、対策技術を開発している。しかし、調査では、対策技術は汎用的ではなく、法規制の効力も限定的であることから、根本的な解決にはなっていないとの見解を示している。解決策の例として「スパムメールを発信する業者への課金」を提案、「政府や企業などがスパム対策に年10億ドルを投じてスパムメールを半減できれば、損失は100億ドルとなり、十分採算がとれる」としている。



URL
  米メリーランド州立大学カレッジ・パーク校ロバート・H・スミス経営大学院
  http://www.bmgt.umd.edu/
  米Rockbridge Associates
  http://www.rockresearch.com/
  プレスリリース(英文)
  http://www.bmgt.umd.edu/ntrs/index.html
  「2004 National Technology Readiness Survey」(英文)
  http://www.bmgt.umd.edu/ntrs/NTRS_2004.pdf


( Infostand )
2005/02/04 10:11

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