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米Gartner、2005年IT予算は2.5%増と予測-CIO調査から


 米Gartnerは1月14日、世界のCIO(最高情報責任者)1300人を対象にした調査結果から、2005年のIT予算は2.5%増加するとの見通しを発表した。

 2500人のCIOを対象とした会員制組織「Gartner Executive Programs(EXP)」が実施した調査によれば、大多数のCIOは、2005年から2008年にかけて極めて大きな変化が起こると予測するとともに、「IT投資において、ビジネスを成長させ実績を挙げる側面に注力する」としている。このため米Gartnerでは、2005年IT予算について2.5%の増加を予測している。

 米Gartner EXP グループバイスプレジデント兼リサーチディレクターのマーカス・ブロシュ氏は、「CIOは、大幅な先行投資をすることなくビジネスに対して積極的に貢献し、より大きな価値を実現するために、情報システム部門の組織変革を求められています。こうした課題に応えるため、CIOはビジネスプロセスとBIに目を向け始めています」と述べている。調査結果を見ても、ビジネスプロセス改善は事業面の優先項目でトップに、BIは技術面での優先項目のうち2位にランクされている。

 また米Gartnerでは、高いレベルのセキュリティを持ち、高品質でコスト効率に優れたITサービスを提供することがビジネス成長への出発点になると指摘しており、「セキュリティの強化ツール」が技術面のトップに、「セキュリティ侵害による業務中断への対策」が事業面の2位となっている。


 一方、CIOの2/3は、CEOにITとそのパフォーマンスを評価された場合、自身の立場が「危機に直面する」と回答し、CEOとの関係の維持・改善に困難を感じている。関係の維持・改善のためには、ITサービスの安定性を維持し、質を向上させるとともに、ITの能力を把握し、CEOが理解できるようにビジネスの観点から見識を示す必要があるとの見解をGartnerでは示している。

 また現在の人材が、現在/将来のビジネス要求に対して適切としたのは、ビジネスプロセス改善を優先項目上位の5つに挙げたCIOのうちわずか20%、CIO全体でも39%のみだった。またCIOの51%が、直近のニーズに応える能力を持った人材を引き付けることの難しさと、既存人材の高年齢化への懸念を表明しており、ビジネスプロセス改善と人材のギャップを埋めることの難しさも表れている。

 またバロシュ氏は、今後のCIOに求められる役割として、情報システム部門を統括する技術担当上級経営管理者、課題に対処する技術を実装する技術リーダー、経営管理チームのメンバーとしてビジネス、技術、リーダーシップ、能力を独自に高める必要性の3つを挙げ、「新しいCIOリーダーになるためには、これらの最適なバランスを理解していなければなりません」と結論づけている。

 なおガートナージャパン株式会社では、今回の対象に含まれる日本企業19社のCIOへの調査をまとめている。その結果では、4月からの個人情報保護法の本格施行を控え、「データ保護とプライバシー」が優先項目のトップとなっている。また技術面の優先項目としては、「IP技術を使った音声とデータの統合」が国内2位で、世界7位と比べ取り組みが進んでいる。

 一方、世界でトップの「ビジネスプロセス改善」は国内13位、世界5位の「ERPのアップグレード、拡張」は12位、世界6位の「ストレージ管理」国内11位で、これらの領域に関する取り組みは遅れているという。



URL
  米Gartner
  http://www.gartner.com/
  プレスリリース(英文)
  http://www4.gartner.com/press_releases/asset_117739_11.html
  ガートナージャパン株式会社
  http://www.gartner.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2005/02/07 19:31

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