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米AMDが独禁法違反で米Intelを提訴-インテルは「ノーコメント」


 米AMDは6月27日(現地時間)、米Intelに対する米国独占禁止法(シャーマン法・デラウェア法)違反による損害賠償請求訴訟をデラウェア州米連邦地方裁判所に提起したと発表した。

 同社によると、Intelは世界各地の顧客(PCベンダーや小売業者など)に対してAMDとの取引制限を強いるなど、販売個数80%・収益90%にもなるという独占的地位を乱用したとしている。日本国内では3月に、公正取引委員会がインテルに対して排除勧告を行ったが、今回の訴訟はそれに続くものだという。

 訴状には日本の大手ベンダーを含む38社の実名と、各社に行われたとする7種の違法行為が報告されている。日本のベンダーにかかわる主要なものは以下のとおり。

 「NECがAMDからの購入を制限する代わりに、インテルはNECに対して数百万ドルを支払った。この制限により、インテルはNECの日本におけるビジネス中、最低でも90%を確保したほか、NECとAMDによる全世界の取引高にも上限を設けた」

 「インテルはソニーに対して、自社と独占的に取引を行うことと引き換えに数百万ドルにも上る金額を支払った。ソニーにおけるAMDのシェアは2002年の23%から2003年には8%に、その後0%まで落ち、現在もその状況は続いている」

 「NEC、Acer、富士通などの主要顧客との間で、AMDからの購入を厳しく制限または完全に中止することを条件に、リベート、手当て、市場開拓資金(MDF:market development funds)を支給、部分的な独占契約を締結した」

 「デル、ソニー、東芝、ゲートウェイ、日立などの主要顧客にインテルとの独占取引を強制し、その見返りに現金の提供、差別的価格設定、またはAMDを排除することを条件としたマーケティング奨励金を支給した」

 「業界レポートでの報告および日本の公正取引委員会で認定されたところによると、インテルは、デルと東芝に対して、AMDと一切の取引をしないことを条件に莫大な金額を支払った」

 また、当時のIntelのCEO、Claig Barrett氏がAcerの会長に対し、AMD Athlon 64の製品発表会をサポートすれば「深刻な結果」が待ち受けていると脅迫。同時にIntelがAcerに対して約束していた1500万から2000万ドルの市場開拓資金の支払いが、何の説明もなく延期され、Acerは2003年9月の製品発表会への参加計画を撤回したという。

 このほか、2000年に当時のCompaq(現HP)CEOによる、AMDとの取引を取引量を理由にIntelが重要なサーバー用チップの引き渡しを見合わせたとの証言や、米国の小売業者にインテル製品を搭載したコンピュータを取り揃えるノルマを課した、などとする行為も挙げられている。

 この件についてインテルではコメントを差し控えている。



URL
  米AMD
  http://www.amd.com/
  プレスリリース
  http://www.amd.com/jp-ja/Corporate/VirtualPressRoom/0,,51_104_543~99722,00.html
  米AMD会長兼社長兼CEOのヘクター・ルイズ氏のメッセージ
  http://www.amd.co.jp/breakfree/


( 朝夷 剛士 )
2005/06/28 18:40

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