韓国の公正取引委員会(KFTC)は12月7日(現地時間)、米MicrosoftがWindows OSにIMソフトウェアや「Windows Media Player(WMP)」をバンドルして販売しているのは不公正な取り引きにあたるとして、同社に330億ウォン(約38億円)の課徴金支払いと、バンドルソフトを除外したバージョンを販売するよう命じた。Microsoft側はただちに控訴することを表明した。
韓国のインターネットポータル企業Daum Communicationが2001年、MicrosoftがIMソフトウェアで不公正な取り引きをしていると申し立て、2004年には米RealNetworksが音楽再生ソフトウェアについても同様の申し立てを行っていた。これらを受けて、KFTCが調査を進め、MicrosoftがOSでの独占的地位を乱用していると判断した。
KFTCは、330億ウォンの課徴金のほか、以下のような是正措置を命じた。
- 180日以内に「Windows Media Service」をバンドルしていないWindows Server OSを提供する
- 180日以内にWMPとIMソフトをバンドルしていないWindows OSを提供する
- 180日以内に競合他社のソフトをダウンロードできるよう、「Media Player Centre」「Messenger Centre」で他社のWebページにリンクを張ったWindows OSを提供する
- 既存ユーザーに対しては、「Media Player Centre」「Messenger Centre」にアクセスできるよう、CD-ROMかアップデートを提供する。
また、是正措置の効力は10年間で、5年後以降、MicrosoftはKFTCに対し措置の見直しを毎年要求できる。
これを受けてMicrosoftは声明を発表し、「韓国ではこれらの技術での競争は存在しており、韓国企業が消費者にさまざまなデジタルメディアソフトやIMソフトの選択肢を提供している。裁定は韓国のイノベーションを阻害しうるものである」とコメント。控訴する意向を表明した。
KFTCは、今回の裁定の理由として、OSにバンドル後のシェアの変化などを挙げている。音楽再生ソフトの場合、2000年12月にMicrosoftがWMPをバンドルしはじめた当初のシェアは、Microsoftが39%、RealNetworksが37%だったのに対し、現在ではMicrosoftのシェアは60%以上に、Realのシェアは5%に変化したという。
なお、Microsoftは今年10月にRealと、11月にDaumと個別の訴訟で和解しており、それぞれ7億6100万ドル、3000万ドルの和解金を支払うことになっている。
■ URL
韓国公正取引委員会
http://ftc.news.go.kr/
米Microsoft
http://www.microsoft.com/
韓国公正取引委員会の発表(英文)
http://ftc.go.kr/data/hwp/micorsoft_case.pdf
Microsoftのプレスリリース(英文)
http://www.microsoft.com/presspass/press/2005/dec05/12-06KFTCPR.mspx
( Infostand )
2005/12/08 09:00
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