Enterprise Watch
最新ニュース

米IBM、原子レベルで磁力を制御する方法を開発


 米IBMは3月30日(米国時間)、原子レベルで磁気を制御する手法の開発に成功したと発表した。未来のコンピュータとして研究が進められている分子コンピュータの実現に道を開くものという。

 同社のアルマデン研究所(カリフォルニア州)の研究者が成功したもので、「Spin-excitation Spectroscopy」と名付けている。地球の14万倍という強力な磁場を生成できる低温走査型トンネル顕微鏡(STM: Scanning Tunneling Microscope)を利用した。

 実験では、電子的に隔離された銅の表面上に、10個のマンガン原子でできた“鎖”を形成し、いくつの原子が追加されると磁気特性が変化するかを測定。奇数と偶数とで、磁気特性が異なることを確認した。

 電子や原子の状態である「スピン」(アップまたはダウン)を電子工学に応用する「スピントロニクス」の実現に向けた成果となる。IBMは2004年、単一原子の磁気方向を逆転させるのに必要なエネルギーを計測する手法「Spin-flip Spectroscopy」を開発しており、今回の実験はこれをベースとしている。

 シリコンなどの現在のマイクロエレクトロニクス回路は縮小に限界があり、「今回のような研究は、コンピュータ業界の長期的将来に不可欠である」とアルマデン研究所の科学・技術マネージャ、Gian-Luca Bona氏は述べている。



URL
  米IBM
  http://www.ibm.com/
  ニュースリリース(英文)
  http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/19494.wss


( Infostand )
2006/04/03 08:59

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.