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EX4200シリーズ
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米JuniperのEthernet Platform Business Group担当執行役副社長、ヒテシュ・シェス氏
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シャーシ型と比べて65%の電力、80%のスペースを節約できるという
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米Juniper Networks(以下、Juniper)は1月29日(米国時間)、スイッチ事業への参入を発表した。まずはレイヤ3のボックス型スイッチ「EX3200」「EX4200」の両シリーズを3月中旬より市場へ投入。2008年後半には、シャーシ型の最上位製品「EX8200シリーズ」を発売する予定となっている。なおジュニパーネットワークス株式会社によれば、日本国内でもほぼ同時期の発売を予定しているとのことで、現時点では、日商エレクトロニクス株式会社が国内での取り扱いを表明している。
3月に発売される製品のうちでもっとも印象的なのは、最大10台のスイッチを128Gbpsの高速仮想バックプレーンで相互接続できるEX4200シリーズだ。1Uラックサイズのスタッカブルタイプであるこのスイッチは、「独自の『バーチャルシャーシ』技術により、スタッカブルスイッチの効率性と経済性を備えつつも、シャーシ型と同様のパフォーマンスを実現した」(JuniperのEthernet Platform Business Group担当執行役副社長、ヒテシュ・シェス氏)点が特徴。必要な分だけの拡張が可能な経済性の高さや、ポート単価の安さ、省スペース性、低消費電力・低発熱といったスタッカブルスイッチの特性と、高ポート密度、モジュラー方式、高速バックプレーンなどのシャーシ型スイッチの特性を両立させているという。
コアとなるのは、ASICベースのパケット転送エンジン「統合ルーティングエンジン」で、これによってキャリアグレードの高い処理性能と信頼性を実現した。また、アップリンクを任意のスイッチ間で分散してスタック全体を1つのデバイスのように運用・管理できるバーチャルシャーシ機能によって、スイッチ1台から最大10台までの柔軟な拡張に対応する。
ヒテシュ氏は、バーチャルシャーシについて「なぜ企業がシャーシ型を使用するかといえば、信頼性や可用性の高さ、また構成を変更できる、密度や管理性の高さなどがあるが、これらはバーチャルシャーシでも可能。一方で、高い、電力やスペースを必要とする、冷却に問題があるといったシャーシ型の問題点を解決できる」とコメント。典型的なネットワーク構成において、シャーシ型と比べて65%の電力、80%のスペースを節約できるとのデータを紹介した。
シャーシ型と同等の“仮想的なシャーシ型”をうたう以上、高可用性(HA)についても、シャーシ型と同様の機能を実装する。スイッチごとに、負荷分散とホットスワップに対応した冗長電源、ホットスワップ対応ファントレイを搭載し、万一いずれかの構成要素が故障しても、ほかの動作に影響を与えることはない。さらには、スタックの中でマスターとして動作しているルートエンジンが故障したとしても、「グレイスフル・ルートエンジン・スイッチオーバー(GRES)」の仕組みによって、ホットスタンバイのスイッチへ即座に動作を引き継ぎ、運用を継続できる。これは通常、シャーシ型スイッチが備えているフェイルオーバーの機能であり、JuniperのルータであるTシリーズ、Mシリーズなどで採用されているものと同等レベルという。
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JUNOSでは、細かな機能の違いで多数のバージョンや系統を構成するような手法は取らず、1系統のみをリリースすることで複雑さを回避する
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EX8200シリーズ
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OSには、Juniperのルータ製品に共通して採用されているモジュラー型OS「JUNOS」を採用し、ソフトウェア面でも実績のあるソリューションを提供できる。ヒテシュ氏は「当社が提唱しているハイパフォーマンスネットワーキングを構築するにはハイパフォーマンスなOSが必要であり、JUNOSはその核になる」と主張。機能面での優位性をアピールしたほか、主系統・枝系統が乱立し繁雑になりがちなOSのバージョン管理についても、常に1系統のみの最新版を提供するシングルソーストレインのポリシーによって、ユーザーに負担がかからないように最大限配慮していると説明した。なお、前述したGRESもこのJUNOSが提供する機能である。
QoS機能についても、スタッカブルスイッチでありながら、ポートごとに8つのキューをサポートし、LLQ/WRR/WFQ/WREDなどの多様なポリシーオプションにも対応。最大1万4000ものACE(アクセス制御エントリ)をサポートし、レイヤ2からレイヤ4までのきめ細かいQoS制御を可能にしている。
EX4200シリーズのラインアップは全5製品。1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×24、同×48を搭載する2つの製品ラインにおいて、8ポートのみがPoE(Power over Ethernet)に対応するモデルと、全ポートでPoEに対応するモデルが発売される。また100BASE-FX/1000BASE-SX(SFP)×24を搭載した光ファイバータイプも1モデル用意された。こうしたラインアップによって、バーチャルシャーシあたり銅線GbEを最大480ポート、光ファイバーGbEでも最大240ポートという高いポート密度を実現している。なお全モデルともアップリンク用に、10Gigabit Ethernet(GbE)×2(XFP)、GbE×4(SFP)の増設用スロットを備えるほか、スタック接続で用いる2基のバックプレーン接続用ポートを搭載し、最大5m離れたスイッチユニット同士を接続できる。
一方EX3200シリーズは、スタンドアロン構成向けのボックス型スイッチ。ホットスワップ対応な電源とファンを備えるが、電源の冗長化は省かれている。ラインアップは4製品で、EX4200シリーズと同様、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×24、同×48を搭載する2つの製品ラインについて、PoE対応が8ポートのみのモデルと、全ポートがPoEに対応するモデルが用意された。アップリンクポートも、全モデル共通で10GbE×2(XFP)、GbE×4(SFP)を搭載する。
2008年後半の発売を予定するシャーシ型のEX8200シリーズでは、コアもしくはアグリゲーションレイヤでの利用を想定。1.6Tbpsの処理能力を持った8スロット型と、3.2Tbpsの処理能力を備える16スロット型が提供され、10GbEを前者は最大64ポート、後者は最大128ポートまで拡張できるとのこと。
■ URL
米Juniper Networks
http://www.juniper.net/
ジュニパーネットワークス株式会社
http://juniper.co.jp/
プレスリリース(英文)
http://www.juniper.net/company/presscenter/pr/2008/pr-080129.html
日商エレクトロニクス株式会社
http://www.nissho-ele.co.jp/
( 石井 一志 )
2008/01/30 10:38
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