日本ストレージ・テクノロジー株式会社(以下、ストレージテック)は、シリアルATAベースの「BladeStore」シリーズの新製品「B220/B280ディスク・サブシステム」を2月12日より、バックアップ用のアプライアンス「MirrorStoreレプリケーション・アプライアンス」を5月6日より出荷する。価格はB220コントローラー・モジュールが2,415,000円より、MirrorStoreアプライアンスが最小構成で5,063,000円。
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日本ストレージ・テクノロジー株式会社 マーケティング本部 マーケティング本部長 吉川 知男氏
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今回の製品発表に先立ち、同社マーケティング本部長の吉川 知男氏は、米Storage Technology Corp.,グループ全体の2003年度の決算について売上げが7%増加していると報告。これは6四半期連続となっており、創業26年目に入った同社が古くより手がけるテープストレージが売上げ全体の47%を占めるほか、「現在力を入れている」サービス部門が41%と前年比で11%成長している。また純利益も14期連続で増加し、前年比で35%、一株あたりでも31%の成長を遂げている。
市場シェアでは、同社のテープライブラリはメインフレーム分野では80%、オープン系でも25%とトップ。同氏は「これを足がかりに現在1%の外付けRAIDのシェア増加を期待している」と述べた。
こうした好調の原因として同氏は「数年前まかれた芽が伸びている」と表現。2000年夏にCEOに着任したパット・マーチン氏によるビジョン「Horizon」に基づき、2001年以降70の製品を出荷して基盤を確立、同社が業界で真っ先に提唱を始めた“インフォメーション・ライフサイクル・マネジメント(Information Lifecycle Management、以下、ILM)”を「よりよく活用していただく」ための製品が受け入れられ始めたことに加え、2003年より特に力を入れ始めたサービス分野での「顧客業務にあわせたデータ保存の最適化支援サービスなどを通じたもの」とした。
ILMとは、「作成後の日時経過とともに参照頻度と価値が変化していく」データの保存先を、その状態の変化によりオンライン、インライン、ニアライン、アーカイブと分けて保存し、ストレージシステム全体で「サービスレベルの最適化とTCOの削減を実現する」ものといえる。同氏は「高い可用性の要求されるオリジナルなデータは全体の20%程度。これをSANストレージに配置し、残り80%のバックアップやレプリケーションといった複製データを用途によりコストの低いATAベースのストレージやテープライブラリに保存することになる」とした。
同社では、ディスク使用状況やバックアップの問題点、可用性などのストレージシステムの状態を洗い出し、改善策を提供してILMを実現するアセスメントサービス専任の営業部隊も、今年度には約3倍に増員するという。
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20%のオリジナルデータ以外は、アクセス頻度や価値により最適なストレージ領域に再配置するILMの考え方
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同社では、FCベースのオンライン、ATAベースのインラインの各ストレージ、ニアラインにはテープライブラリ、アーカイブにはテープのライトワンステープメディアをラインアップする
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日本ストレージ・テクノロジー株式会社 マーケティング本部 シニアスペシャリスト 藤田 剛氏
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B220/B280ディスク・サブシステムは、MaxtorのシリアルATA 250GB HDDとシリアルATA/FC変換モジュールを用いたB200ディスクアレイを、同社のSANストレージ「D200」と同じ筐体に14台まで搭載可能で、「FCベースのストレージと同様の可用性、信頼性を備えた」ストレージとなる。管理ソフトウェアも従来の「SANtricity」に対応し、同社製品を一元管理することが可能だ。
B280は、FCポート×8と2GBのキャッシュを搭載したコントローラーモジュールを備え、B200ディスクアレイを14基搭載した筐体を16台接続でき、最大56TBまで拡張可能なエンタープライズ向けの製品。一方のB220はFCポート×4、512MBキャッシュで最大接続数8、最大28TBのエントリー製品となっている。
藤田氏は、ストレージに保存されるコンテンツデータの量が増加を続けていること、その8割が複製であり、さらに9割以上は90日以上たつとアクセスされないことに触れ、「これまでの保存先となっていたハイパフォーマンスストレージやテープから、将来的にはATAベースのディスクシステムの市場が広がると予測している」と述べた。また「現在はNASでの採用が先行しているが、今後はSANでも増えていくだろう」と語った。
同社ではオリジナルデータを搭載するIO/秒のパフォーマンスを優先したアクセス重視のDシリーズ、Vシリーズと比較し、今回発表のBシリーズでは「コストと容量を重視したバックアップ用途などでのMB/秒のパフォーマンスを重視した製品」と位置づけ、販売を行いたい考えだ。またBシリーズの従来製品である「B84」と比べた場合には「実装密度は低いが、最小構成の価格が低く、小さな単位で拡張可能な点から、より小規模構成向きといえる」とのこと。
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B280ディスク・サブシステム
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将来的にはATAベースのディスクシステムの市場が広がると予測している
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B220/B280ディスク・サブシステムは、同社の製品構成でもミッドレンジを担う位置づけ
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MirrorStoreレプリケーション・アプライアンスは、企業での重要な課題ながら「コスト的に基幹データほどの金額がかけられない」部分でのディザスタリカバリなどを想定し、ディスクツーディスクのバックアップが行えるアプライアンス。
既存の異機種混在環境とシームレスに統合可能で、ローカル、リモートのそれぞれで、データを同期するミラーリングや、スケジュールに基づいて一定期間ごとにデータの更新を反映するレプリケーションが行える。藤田氏によれば「非同期のレプリケーションの場合はストレージや回線を低コストにできる」という。
ストレージや遠隔地との接続はFCポート×6で行い、「多種多様なストレージを一元管理して最適化できる」という。またまたスナップショットの機能により、バックアップデータの世代管理も可能だ。
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MirrorStoreレプリケーション・アプライアンス
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MirrorStoreを用いたIPネットワーク経由のリモートレプリケーションシステム構成例
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■ URL
日本ストレージ・テクノロジー株式会社
http://www.storagetek.co.jp/
プレスリリース(B220/B280ディスク・サブシステム)
http://www.storagetek.co.jp/press_release/news_040212_2.html
プレスリリース(MirrorStoreレプリケーション・アプライアンス)
http://www.storagetek.co.jp/press_release/news_040212_1.html
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