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日本HP、“省スペースを実現した”ハイエンドテープライブラリを発表


HP StorageWorks テープライブラリ ESL eシリーズ

Marketing Director NSS Nearline Storage Division、リック・ラトゥラル氏
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は2月26日、SAN専用に設計されたハイエンドのテープライブラリ「HP StorageWorks テープライブラリ ESL eシリーズ(以下、ESL eシリーズ)」を発表した。価格は3,000万円からで、3月下旬より出荷開始となる予定。

 米HPのMarketing Director NSS Nearline Storage Division、リック・ラトゥラル氏によれば「24時間動いているミッションクリティカル業務では、バックアップ、リストアのための十分な時間がないので、高いパフォーマンスが求められている。また、止めることができないため、ホットスワップでメンテナンスを行えることも必須。さらに、限られたデータセンターのスペースの中により多くの容量を詰め込みたいという声もあったし、スケーラビリティへの要望、管理を簡単に効率よく行いたいという要望もあった」という。

 こうしたニーズを満たすために発表されたESL eシリーズは、日本HPが2002年に発表したストレージビジョン「HP Enterprise Network Storage Architecture Extended(ENSAextended)」に基づいて提供される。誰でも、いつでも、どこからでも、必要な時に必要なストレージが利用できるというそのコンセプトは、今回の製品でもさまざまなところで見ることができる。「例えば、複数のライブラリを1つの画面で設定したり、自動化・統合されたグラフィカルなセットアップメニューによって、わずかなクリックで設定が行えるようになっていたり、遠隔地から設定を行ったりすることが可能になっている」(ラトゥラル氏)。

 またハードウェア面では、UltriumやSDLTのテープドライブを24台搭載でき、Ultriumの場合はテープカートリッジを最大712個まで収納可能なため、最大バックアップ容量は305.6TB(最大圧縮時)に達する。加えて筐体も従来モデル「ESL9000シリーズ」と比べて小型化されており、搭載ドライブ数が増えたこととあわせて、1平方フィートあたりのストレージ容量をESL9595の最大9.8TBから、14.2TBに向上することができた。ラトゥラル氏によれば、こうした“密度”は競合ベンダの2~3倍にもなるという。

 今後の展開としては、SCSIで接続されているテープドライブがNative Fibre環境へ対応するほか、2004年の後半には、最大5ユニットまでのESL eシリーズを並べてペタバイトクラスの大きな仮想ライブラリを構成する機能や、同一のライブラリ内に仮想的に複数の小さなライブラリを存在させる機能など、さらなる拡張も提供する予定があるとのことだ。

 なお、テープ製品をエンタープライズクラスのデータ保護ソリューションで用いるメリットについてラトゥラル氏は「当社はHDD、テープによるマルチレベルのデータ保護戦略を打ち出しているし、HDDの価格も下がってきているので、今後もHDDベースのソリューションも継続していく。しかし多くのアナリストも認めていることだが、非常に大きな容量の場合は、やはりテープのコストが最も低い。またさまざまな災害に対しても、テープは外して持ち出すことができるため、安全に保護できる強みがある。ベンダがお客様に対して、将来的にはディスクだけに置き換えることができると広言しているのは、誤解を招くのではないか」(ラトゥラル氏)と述べ、テープによるソリューションも必要であるとの認識を示した。


ESL eシリーズの内部。奥にテープドライブが、左右にテープカートリッジを入れるマガジンが見える ESL eシリーズの背面。電源をはじめとする各コンポーネントがモジュール化され、それぞれホットスワップに対応している


URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  プレスリリース
  http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2004/fy04-068.html
  ESL eシリーズ
  http://h50146.www5.hp.com/products/storage/tape/esl_e/


( 石井 一志 )
2004/02/26 18:19

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