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今回発表された新Pentium Mプロセッサ
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インテル株式会社は5月10日、モバイル向けプロセッサ「インテル Pentium M プロセッサ 735/745/755」を発表した。動作クロックはそれぞれ1.7GHz、1.8GHz、2.0GHzで、1,000個受注時のOEM向け価格は32,280円、46,440円、69,930円。3モデルとも、すでに出荷は開始されている。
今回発表されたプロセッサはコードネーム「Dothan」の名で呼ばれていたもので、従来の「Banias」製品と同様、「インテル855 チップセット・ファミリ」、「インテル PRO/Wirelessネットワーク・コネクション」とともに、「Centrinoモバイル・テクノロジ」を構成する。Baniasと異なり90nmプロセスで製造された新製品では、今までの2倍にあたる1億4,000万個のトランジスタを搭載。アーキテクチャの強化と「歪みシリコン」の採用、倍増(Banias比)となる2MB L2キャッシュなどにより性能が向上した。
ベンチマークの比較では、1.7GHzのBaniasと比べて同クロック製品同士で10%、2.0GHzの場合で17%高い数字をマークした一方、バッテリ駆動時間は同等以上の成績を残している。なお、FSBは従来と同じ400MHz。
また、プロセッサ・ナンバが採用されたことで、クロック周波数が製品名に反映されていないことも特徴といえる。周波数によらない「わかりやすい」製品体系を提供することで、インテルでは消費者に対し、今まで以上にアピールしたい意向だ。
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BaniasとDothanのベンチマーク比較図。左がパフォーマンス、右がバッテリ駆動時間となっている
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プロセッサ・ナンバについての説明
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■ モバイルエコシステムの確立へ力を注ぐインテル
またこの発表の場で同社の代表取締役共同社長、吉田 和正氏が述べたことは「単にインフラとして使える環境を提供するだけでなく、トータルのエコシステムを構築すること」。これはインテルが何度も言及してきたことだが、吉田氏は「単なる製品の提供にとどまらず、国内5,000カ所以上のホットスポットでの検証作業や、日本通信をはじめとする企業への出資、モバイルアプリケーションの充実、家庭向けアクセスポイントの普及といったことに力をつくしてきた」とこの1年を振り返った。そしてこうした試みを含め、同社では新たなライフスタイルの提案や、企業の生産性向上を支援するとあらためて表明。
このうち企業の生産性向上という面に関しては、マーケティング本部 本部長のケヴィン・セラーズ氏が、コクヨオフィスシステム株式会社を例に紹介。ノートPCなどを利用した無線LANオフィスの構築により、営業が社外で過ごす時間が大幅に増えたというデータを示し、「できるだけお客様に会うことが営業の役目。(無線LANを搭載したノートPCの導入とホットスポットの利用などにより)営業の人間が社外で仕事できることで、生産性、お客様の満足度をより高めることができる」(セラーズ氏)と述べるとともに、「レイアウト変更時のコストを大幅に削減できる」とも語り、レイアウトフリーという無線LANの特長をあらためて強調していた。
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代表取締役共同社長、吉田 和正氏
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マーケティング本部 本部長、ケヴィン・セラーズ氏
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コクヨオフィスシステムの事例。右側の円グラフが業務時間の概念図で、社外で過ごす時間が大幅に増えたことを示している
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■ URL
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
インテル・プロセッサ・ナンバ
http://www.intel.co.jp/jp/products/processor_number/index.htm?iid=jpHPAGE+low_news_a&
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( 石井 一志 )
2004/05/10 17:15
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