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日本IBM、POWER5プロセッサ搭載のeServer iSeriesを発売


 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は、IBM eServer iSeriesの製品ラインを刷新し、64ビットプロセッサのPOWER5 1.50/1.65GHzを搭載したサーバー2機種、「i5 520」、「i5 570」を6月11日より出荷する。これにあわせOS/400の新バージョンも「i5/OS」へと名称変更している。価格はそれぞれ最小構成で、520が320万円から、570が3,100万円から。


日本アイ・ビー・エム株式会社 システム製品事業 理事 花井 貢氏
 同社システム製品事業 理事 花井 貢氏は今回の発表について「3月末に発表されたPOWER5プロセッサ、4月末のVirtualization Engineを実装した具体的な製品の第1弾として、将来のサーバーの動向を示す大きなメッセージ」と述べた。

 3月末に発表されたPOWER5プロセッサは、「性能面では30%の改善ながら、マルチスレッドの採用により従来のPOWER4と比べて実利用環境では約2倍の処理能力」だという。同氏は「テクノロジ的に無理せず、同時並行にジョブの並列化を進めて、全体の効率化を図ることで高速を実現した、ローエンドでも実装できるバランスのいいプロセッサ」とした。

 Virtualization Engine(VE)については、「ITの複雑化による、管理工程やコストの増大といった課題を解決するもの」とした。VEは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせで構成される新技術で、1CPUを最大10にパーティショニング可能な新しいLPAR(Logical Partitioning)の機能を備える。それぞれにOS/400の新バージョンとなる「i5/OS」、Linuxのほか、これまでpSeriesのみでサポートしていたAIXを稼動することができる。これについては「pとiのハードウェア部品の共通性が高まったため」とし、ネイティブでの動作が保証される。また従来はプライマリパーティションにOS/400が必要だったが、この制約がなくなった。

 またIXS(統合xSeriesサーバー)を内蔵する、またはIXA(統合xSeriesアダプター)を介してxSeriesを接続することでWindows環境も統合し、UNXI、Linux、Windowsのすべての稼働環境を集約した一元管理が可能になる。

 またLPARでは、仮想CPU間でのワークロードバランスを0.01CPU単位で、またメモリを1MB単位で自動的に割り振ることも可能となった。さらに従来iSeriesの上位機種870/825のみでサポートしていたCoD(Capacity on Demand)を570でサポートする。これはあらかじめサーバー内に用意されたハードウェアリソースに対し、利用分だけ課金するもの。今回その対象をCPUだけでなくメモリにまで拡大しており、LPARにより負荷が高まったときにこの予約リソースを利用することが可能になっている。


製造プロセスやトランジスタ数をはじめとしたPOWER4とPOWER5の比較 複雑化したITインフラの管理に対するニーズは高まっている VEでは、パーティショニングされた仮想CPUで動作する複数環境を統合管理できる

左がi5 570、右がi5 520
 520はLPARが2までの1Way構成から、同20の2Way構成までの6製品がラインアップされ、同社では小・中規模向けとしてiSeries 800/810の後継機に位置づけている。570は2Wayと4Wayの2製品があり、将来的には16Wayまでに拡張予定とのこと。それぞれWebSphereやDB2のライセンスがバンドルされるエンタープライズモデルも発売される。

 花井氏は、「メインフレームからの移行などのレガシーマイグレーションでも、資産の継承は続けていく。5250モードのサポートはなくなることはない」としながらも、「オープン化への市場ニーズの変化は大きなもの。異機種混在環境の統合管理が可能なVEを武器に、Dell、HP、Sunの強い分野である、UNIX、IAハイエンドのチャネルへ向け、iSeriesの市場を拡大したい」と語った。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-6.ibm.com/jp/domino05/ewm/NewsDB.nsf/2004/05102
  IBM eServer iSeries
  http://www-6.ibm.com/jp/servers/eserver/iseries/

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( 岩崎 宰守 )
2004/05/10 17:34

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