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日本HP、デュアル“Itanium 2”モジュール搭載Integrityサーバーを発売


 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は5月19日、Itanium 2を搭載したIA64サーバー「HP Integrity サーバシリーズ」(以下、Integrity)のラインアップに、Itanium 2を2基実装する新プロセッサモジュール「HP mx2 デュアルプロセッサモジュール」(以下、mx2)を搭載した製品を追加し、同日より出荷開始すると発表した。


HP mx2 デュアルプロセッサモジュール mx2搭載製品が発売されるうちの1つ「HP Integrityサーバ rx7620-16」 エンタープライズストレージ・サーバ統括本部長 松本 芳武氏

1つのカード上にItanium 2 1.1GHzを2基備えるmx2

 mx2は、単一カード上にItanium 2 1.1GHzを2基と32MB L4キャッシュを搭載したモジュールで、Integrityのミッドレンジクラス「rx4640」以上の製品に対応する。既存のItanium 2を1基搭載したモジュールとはソケット互換が可能で、一部機種を除き、1台のIntegrity内に双方のモジュールを混在させることもできるとのこと。ソフトウェアを変更せずに利用できるとしているが、OSはWindows Server 2003とHP-UXのみに対応し、Linuxは使用できない。

 このモジュールの登場により、従来4Wayであったrx4640は最大8Way(mx2×4)、64Wayの最上位モデル「Superdome」は最大128Way(mx2×64、現時点では1パーティションにつき64プロセッサまでの制限付き)の構成が可能となるなど、従来の2倍のプロセッサを搭載できるようになった。日本HPではこれをうけ、rx4640を「rx4640-8」へ、「rx7620」を「rx7620-16」へ、「rx8620」を「rx8620-32」へ製品名を変更したほか、mx2を搭載できない下位モデル「rx2600」「rx1600」もそれぞれ「rx2600-2」「rx1600-1」へ変更された。


TCO削減が最大のメリット

SAP SDベンチマーク 2-Tierの結果

mx2搭載Integrityが他社のどの製品と競合するかを表した図。今までよりも1ランク上の製品と戦う、というHPの意志が現れている
 mx2を搭載することで、たとえば、従来はrx7620でなければ構成できなかった8Wayを、rx4640でも実現できるようになる。この最大のメリットを、同社のエンタープライズストレージ・サーバ統括本部長、松本 芳武氏は「保守費用を含めたTCOの削減」という。1ランク下の筐体を使用できれば、その費用自体が安く済むこともメリットなのだが、松本氏はさらに保守費用の優位性を強調する。通常、保守費用は製品の筐体別に設定されることが多いため、1つ上の製品とほぼ同等の構成を安価な製品で実現できれば、「数年サイクルで見たときに、劇的に効いてくるはず」(同氏)というのだ。また自明のことであるが、筐体が小さければ設置スペースが少なく済むということも利点の1つ。松本氏は「デンシティを重視するお客様にも有効ではないか」とした。

 しかし、安く、小さくできるとしても、性能が極端に落ちてはお話にならない。松本氏はこの懸念に対しては、SAP R/3の販売管理処理性能を測定するベンチマーク「SAP SDベンチマーク 2-Tier」を用いて、rx4640-8・mx2の8Way(Itanium 2 1.1GHz×8)とrx7620-16・従来のItanium 2モジュールの8Way(Itanium 2 1.5GHz×8)を比較した結果(右図)を示し、「mx2はクロック周波数で劣っているにもかかわらず、L4キャッシュの採用などにより、従来の8Wayと比較しても90%程度のパフォーマンスを出せる」とした。

 また日本HPでは従来より、RISCサーバーのユーザーに対して、RISCに対するItanium 2自体のパフォーマンスの高さを盛んにアピールしてきているが、日本IBM製のUNIXサーバー「p650」(POWER4+ 1.45GHz×8)を比較対象として提示。本来1ランク下であるrx4640-8であっても互角以上だとした上で、価格が安く済むことを含めて他社製品のユーザーにIntegrityを売り込み、リプレースを積極的に狙っていく意向だ。同社では日本IBM以外にもサンマイクロシステムズ(以下、サン)のユーザーを狙っており、「サンは、中・下位レンジではまだ強い。リプレース案件に関しては多くの(移行)プログラムを用意して促進しているところだ」とした。

 なお製品の価格例を見てみると、従来のモジュールを利用してItanium 2 1.5GHzを32基搭載したSupderdomeが約2億4,000万円なのに対し、mx2を用いて1ランク下のrx8620-32(mx2×16=Itanium 2 1.1GHz×32)で32Wayを構成すると、約1億1,000万円で済む。またrx4640-8で4Wayを構成する場合、Itanium 2 1.5GHzを4基搭載すると約790万円かかるが、mx2を2基搭載した場合は約640万円となる。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/

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( 石井 一志 )
2004/05/19 16:23

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