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エンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部 インダストリー スタンダード サーバ製品本部 本部長、上原 宏氏
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日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は6月3日、ブレードサーバー「HP ProLiant BLライン」を次世代情報システムの主要プラットフォームに位置付け、ブレードサーバービジネスを強化すると発表した。これに伴い同社では、組織横断的なブレードサーバー専門のタスクチームを設立するほか、ブレードサーバーの新製品「HP ProLiant BL30p」を6月24日から受注開始する。BL30pの価格は現時点で正式に公開されていないが、1ブレードあたり30万円台~70万円台前半(CPU構成などにより変化)となる見込み。
日本HPのエンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部 インダストリー スタンダード サーバ製品本部 本部長、上原 宏氏によれば、現在同社のx86サーバー製品群「HP ProLiant」の出荷は順調に伸びており、台数ベースで3位、金額ベースで2位を記録するまでになったという。これはラックマウントサーバーの出荷推移が好調なこと、Direct PlusなどによるCTO事業が前年比3倍になったことなどが原因とのことだ。
同社ではさらにProLiant製品を広範に販売するためのビジネスの軸として、「HP ProLiant DL360/380」などのミッドレンジラックマウントサーバーを“収益の軸”に、Opteronなどの64ビット拡張x86プロセッサ搭載サーバーを“新テクノロジの軸”に、「HP ProLiant 100」シリーズを“ボリュームの軸”にそれぞれ位置付けているが、今回ブレードサーバーを“ソリューションの軸”として追加し、4本の軸として展開していく考え。
実際のIAサーバー市場におけるブレードサーバー普及状況を見てみると、まだ「3~4%くらい」(上原氏)に過ぎない。しかし、確実にブレードサーバー市場は広がっているとした上原氏は、「すでに革新的なイノベータだけが導入するフェイズは終わった」として、サーバーコンソリデーションなどによるTCO削減効果などのメリットをアピールし、ブレードサーバーの普及を加速させていきたい意向を示した。
同社ではブレードサーバー市場において、1位となる30%のシェア(台数ベース)を目標に今後の活動を行っていくとのことで、営業、サービス、SCM、マーケティングの各部門から構成されるタスクチーム「ブレード・クロス・ファンクショナル・チーム」(20名)を設立し、新製品提供、価格改定、ソリューションやサービス提供などの施策を行い、ブレードサーバーの普及促進を目指す。
■ エントリーとミッドレンジのすき間を埋める高密度ブレードサーバー
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HP ProLiant BL30p
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SANブートを利用した場合の1例。障害が起きたときのためにスペアを用意しておき、故障機が利用していたOSイメージからスペア機のブートを行うことで、継続した運用を可能に
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この戦略の一環として今回市場へ投入されるBL30pは、Xeonプロセッサ(3.20GHzなど)を最大2基搭載可能な製品で、Pentium M搭載のエントリーモデル「HP ProLiant BL10e」と、Xeon搭載のミッドレンジモデル「HP ProLiant BL20p」の中間に位置する。シャーシ(エンクロージャ)は既存製品BL20pと同じものを使用するが、より高密度な運用を可能としており、6Uのシャーシに最大16枚(BL20pは8枚)のブレードを装着できる。同じシャーシ内にBL20pと混在させることも可能で、必要なシステム要件が変化しても、柔軟に構成の変更を行えるとのこと。
なおBL20pと比較した場合、BL30pでは搭載するHDDがホットプラグ可能なUltra SCSI3からホットプラグ非対応のATAに、RAIDがハードウェアRAIDからソフトウェアRAIDに変更されるなど、主にHDD関係の機能が省略されている。しかし日本HPでは、外部ストレージからSANブートを行う機能を2004年夏ごろに提供する予定で、この場合にはHDDをブレード内に持つ必要がなくなるため、BL30pの特徴である高密度を有効に利用できるという。これにより、サーバーだけでなくストレージのコンソリデーションも可能となるため、HDD容量の有効利用や、管理コストのよりいっそうの削減などの効果も見込まれている。
今回はさらに、従来より提供しているラッキングサービスのメニューにブレードサーバーを対応させたり、BL20pの価格を本体で最大16%、シャーシで最大50%の価格を削減したり、といった施策も同時に行われた。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
プレスリリース
http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2004/fy04-117.html
( 石井 一志 )
2004/06/03 18:03
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