富士通株式会社は6月22日、90ナノ半導体技術を採用した64ビットCPU「SPARC64 V」を搭載するUNIXサーバー「PRIMEPOWER」5モデルの販売を開始した。UNIXサーバーで90ナノ技術によるCPUを搭載するのは世界初だという。
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サーバーシステム事業本部 本部長 山中明氏
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PRIMEPOWER 2500
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今回発表されたサーバーに搭載される90ナノSPARC64 Vは、同社の半導体部門「あきる野テクノロジセンター」にて開発された技術を採用、16mm×18mmのチップに約4億個のトランジスタを内蔵している。サーバーシステム事業本部 本部長の山中明氏によると、従来の130ナノSPARC64 Vに比べ動作周波数(1.35GHz→1.89GHz)や、内蔵L2キャッシュ(2MB→3MB)などが向上。これを搭載したPRIMEPOWERは、SAP(SAP ERP)やSPECjbb(Javaアプリケーション)などの各種ベンチマークテストで世界最高性能を記録しており、「従来に比べ約150%性能アップし、業務環境レベルで世界最高性能を実現した」という。また高精度なエラー検出やECC、命令リトライ機能によるエラー訂正などのRAS機能を持ち「メインフレームと同等の信頼性を確保した」とのこと。
新製品は、1.82GHzのSPARC64 Vを標準で8基、最大128基搭載可能な「PRIMEPOWER 2500」(1億5325万円から)、1.89GHzのSPARC64 Vを標準で4基、最大32基搭載可能な「PRIMEPOWER 1500」(4797万円から)、1.89GHzのSPARC64 Vを標準で4基、最大16基搭載可能な「PRIMEPOWER 900」(3737万円から)のエンタープライズ向け3機種と、1.89GHzのSPARC64 Vを標準で4基、最大16基搭載可能な「PRIMEPOWER 850」(2919万円から)、1.89GHzのSPARC64 Vを標準で2基、最大8基搭載可能な「PRIMEPOWER 650」(1116万円から)のミドルレンジ向け2機種がラインアップされる。出荷は8月初旬より順次開始予定。
また山中氏は、2005年にはクロック周波数を2.16GHzまで向上させたSPARC64 Vを搭載するPRIMEPOWERを、2006年にはマルチコア搭載のSPARC64 VI 2.4GHzを搭載するサン・マイクロシステムズとの共同開発サーバーを発表する予定があることを明らかにした。
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SPARC64 VのCPUモジュール装着時。1枚で最大8基が搭載可能
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各ベンチマーク比較
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■ 次期SPARCは富士通・サンそれぞれで開発、「いい方を製品化」
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システムプロダクトビジネスグループ長 経営執行役常務 伊東千秋氏
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PRIMEPOWERのロードマップ
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同社では新しいPRIMEPOWERの販売目標を、今後2年間に全世界で3万6000台と設定している。そして今後、国内はもとより海外での販売にこれまで以上に力を入れるとのことだ。システムプロダクトビジネスグループ長 経営執行役常務の伊東千秋氏によると、これまで日本に2,300社、海外に1,000社(欧州800社、北米200社)の導入実績があり、2003年度は全13,800台中、日本に7,300台、海外に6,500台販売した。そして2004年度は全17,500台中、日本に8,500台、海外に9,000台の販売を見込んでおり、「グローバル展開を加速する」意向だ。特に「最大のUNIXマーケット」(伊東氏)とする北米に対し前年比160%の販売を見込んでいるという。
また伊東氏は、6月2日に発表された米Sunとの提携にも触れ、今回発表されたPRIMEPOWERと同等製品を「サンからも発表する可能性がある」ことを明かし、「サンのビジネスに貢献したい」と提携関係の強さをアピールした。さらに今後のSPARCサーバーの共同開発について「サンもプロセッサ開発をやめたわけではない。両社ともに開発を続け、いい方を両社から出すことでリスクを分散させることができる」と、当面の間、それぞれでSPARCの開発を進めていく考えを示した。
■ URL
富士通株式会社
http://jp.fujitsu.com/
プレスリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2004/06/22-1.html
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( 朝夷 剛士 )
2004/06/22 18:52
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