日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は6月24日、外部ストレージ事業の強化を発表した。これに伴い同社では、「HP StorageWorks Modular Smart Array(以下、MSA)ファミリ」のラインアップを再構築し、既存製品の価格を最大51%引き下げる価格改定を同日より実施するとともに、ストレージアレイやSANコントローラの新製品3モデルを追加した。これらの新製品は、7月より順次発売される。
■ サーバーとストレージの共同開発でメリットを追求
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エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 統括本部長 松本芳武氏
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日本HPでは、変化に適応するための「アダプティブ・エンタープライズ」戦略の一部として、「業界標準」にこだわった製品を提供してきた。エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 統括本部長の松本芳武氏によれば、サーバーにおいてはこれが評価され、2004年の第1四半期の国内シェアは、IA64サーバーで80%、x86サーバーでも売上ベース2位、台数ベース3位と高い実績を残すことができたという。こうしたサーバーの好調ぶりはストレージにも波及しており、「サーバーの用途が拡大するにつれ、サーバーに接続するストレージに対する要求も高まっている」(同氏)。
そこで同社では、x86サーバー「HP ProLiantファミリ」を担当する事業部と、MSAファミリを担当する事業部に共同で開発やマーケティングを行わせ、サーバーとどう組み合わせて使うと効果的か、という点にこだわって、Windows/Linux市場へ製品を展開していくという。今回のラインアップ強化もその一環で、シリアルATA HDDを搭載する「HP StorageWorks MSA20」、Ultra320 SCSIの採用などで性能を強化した「HP StorageWorks MSA500 Generation 2」(以下、MSA500 G2)の両ストレージアレイと、SANコントローラ「HP StorageWorks MSA1500 cs」を提供する。
■ ラインアップ再構築で価格性能比に優れた製品を提供
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HP StorageWorks MSA20
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MSA20は、サーバーとの接続にUltra320 SCSIを使用するストレージエンクロージャで、最大12台、3TBまでのHDDを搭載できる。シリアルATA HDDを搭載していることから、オンライン用途ではなく、利用頻度の少ないデータを格納する「ニアオンライン」やバックアップ用途に向くという。同時に発表されたMSA1500 csと組み合わせ、SAN環境への拡張も可能だ。価格は40万円から。
MSA500 G2は、2ノードクラスタをサポートするUltra320 SCSI対応ストレージ。内蔵HDDもUltra320 SCSIに対応したため、既存製品と比較して約2倍の転送速度(RAID 5構成時)を実現したほか、HDDが故障した際に、交換してからRAID 5再構築が完了するまでの時間を約1/5に短縮した。FCコントローラの追加により、SANへの拡張にも対応する。価格は70万円(税別)から。
MSA1500 csは、MSA20や、Ultra320 SCSI対応の既存モデル「HP StorageWorks MSA30」と組み合わせ、SANを構成する外部ストレージ用コントローラ。外部インターフェイスはFCで、MSA20との組み合わせではニアオンライン/バックアップ用途に、MSA30との組み合わせではオンライン用途に向くという。現在はMSA20/30の混在環境には対応していないが、秋をめどに対応する予定。価格は最小構成で98万円(税別)から。
さらに今回は、これらの新製品発表と同時に、従来は180万円(税別)で販売していたFC SANストレージアレイ「HP StorageWorks MSA1000」の価格を88万円(同)に値下げするなど、「日本で一番アグレッシブな価格」(エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ネットワークストレージ製品本部 本部長 渡辺浩二氏)への改定も実施。顧客のニーズにきめ細かく対応できるラインアップにしたという。
■ アーキテクチャの共通化により、DASからSANへの移行も容易に行える
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内蔵ストレージ、DASからSANへ移行する場合の説明
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加えて、これらの製品では共通化されたアーキテクチャを採用しており、サーバー内部で利用しているHDDをRAID構成を保ったまま外部ストレージへ移行したり、DASからSANへ簡単に構成を変更したり、内蔵ストレージからSANまでを共通の管理ツール「Insightマネージャ」で管理したり、といったことが可能。これによって、過去の投資を保護しつつ、柔軟に構成を拡張できる、としている。
またサーバーとの連携という点では、ブレードサーバーとの連携も視野に入れている。現在のブレードサーバーでは、スペースの問題でHDDが増設しにくいという問題や、ストレージの集中管理を行いたいというニーズがあるため、ブレードサーバーからHDDを切り離し、SAN接続の外部装置を利用してストレージの集約を行う「SANブートソリューション」も2004年夏に提供する予定。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
プレスリリース
http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2004/fy04-123.html
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( 石井 一志 )
2004/06/24 20:00
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