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日本IBM、POWER5を搭載したUNIXサーバー「eServer p5」を発表


 日本アイ・ビー・エム株式会社は、サーバー用の新CPU「POWER5」1.9GHzを搭載したUNIXサーバー「IBM eServer p5(以下、p5)」3モデルを8月31日より出荷開始する。


常務執行役員 システム製品事業担当 橋本孝之氏(左)と、pSeries事業部長 俵雄一氏(右)
 p5は、同社製サーバー用CPUの5世代目にあたるPOWER5を最大16基まで搭載できるUNIXサーバー。常務執行役員システム製品事業担当の橋本孝之氏は、上位UNIXサーバーを超えるパフォーマンスと効率性を備えた「第3世代のUNIXサーバー」と従来製品との違いを強調する。

 p5の大きな特徴は(1)中型機ながら他社のCPUを搭載した大型サーバーを超えるパフォーマンス、(2)1基のCPU内で複数のパーティション(論理区画)を構築し、自動的にリソースを再配分できる「マイクロパーティショニング」を実装した点だ。

 同社が行ったTPC-Cベンチマークテストの結果によると、16基のPOWER5を搭載したp5のパフォーマンス値は、Itanium 2を16基搭載したIAサーバー(HP Integrity rx8620)の2.5倍、64基のPA-RISCを搭載したサーバー(HP9000 Superdome)の1.5倍を示したという。

 マイクロパーティショニングは、CPUを論理的に区分けし仮想的に複数のOSを同時に動作させることができる技術。POWER5では最大10区画まで分けることができるため「16基搭載するp5では、最大160のサーバーを同時に動かすことができる」(pSeries事業部長 俵雄一氏)。また、アクセス集中などでより多くのリソースが必要になった場合に、再起動なしで自動的にCPU区画を割り当ててパフォーマンスを補うことも可能だ。

 同社では、これらの特徴からp5を分散されたサーバーの統合に最適と位置づけている。俵氏は従来、サーバー1台あたり1つのアプリケーションが動作していたため、CPU使用率が低く運用効率が悪かったとし、「SAPの場合、本番・テスト・開発で約60台必要だったサーバーを2~3台のp5に統合できる」「複数のサーバーに分かれているデータベースを統合することでCPU数に応じたライセンス費用を削減できる」と、TCOの削減効果を中心に優位性を説明した。


TPC-Cベンチマークテストによるパフォーマンス比較 マイクロパーティショニングのイメージ

IBM eServer p5
 稼働OSは、AIX 5L Ver5.2/5.3、SUSE LINUX、Red Hat Linux。なお、マイクロパーティショニングを利用するには、対応OSとして今回新たに発表されたAIX 5.3、およびSUSE LINUX Enterprise Server 9が必要となる。

 価格は最少構成で、エントリーモデルの520(最大2Way)が190万6400円、ミドルレンジの550(最大4Way)が350万9300円、570(最大16Way)が394万1100円。

 橋本氏はp5のターゲットとなる市場として(1)レガシーマイグレーション、(2)データベースサーバー、(3)基幹業務、(4)HPC(High Performance Computing)を挙げる。特にレガシーマイグレーションについては、今回の発表に合わせエヌ・ケー・エクサ、兼松エレクトロニクス、ジェー・アイ・イー・シーの3社を新たにマイグレーションパートナーに加えたことを発表し、現在のところ合計6社、年内には20社に拡大する予定のほか、移行費用を補てんするプログラムを用意するなど力を入れている。

 なお、同社では5月にPOWER5を搭載した「iSeries」を発売しているが、橋本氏は「iSeriesやzSeriesは従来製品を継承する目的の製品なのに対し、pSeriesとxSeriesは新しい市場に向けたもの」とターゲットとなる市場が違うことを説明し、「コスト削減に向けコンポーネントを共通化しているが、マイクロコードやシステムパッケージングは異なる」とした。その上で「iSeriesとpSeriesをブランド統合する予定はない」と述べた。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/
  ニュースリリース
  http://www.ibm.com/news/jp/2004/07/07141.html

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( 朝夷 剛士 )
2004/07/14 16:02

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