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NEC、Itanium 2搭載メインフレームを2004年中に投入

顧客環境の全体最適化を目指すプラットフォーム最適化ソリューションも提供

 日本電気株式会社(以下、NEC)は8月2日、サーバープラットフォーム事業の新戦略を発表し、長年販売してきたメインフレームのCPUに、はじめてItanium 2を採用することを明らかにした。同社ではすでにメインフレーム「ACOS-2」においてはIA(Xeon)を採用しているが、Itanium 2をメインフレームに搭載するのは、今回がはじめての試みとなる。


“IPFメインフレーム”で段階的マイグレーションを可能に

新ACOS-4の強化方針
 新たにItanium 2をCPUに採用するのは、メインフレーム「ACOS-4」。2004年中に登場する予定の新ACOS-4では、オープン系のCPUを搭載しながらも、過去のACOS-4 OSと完全なバイナリ互換を持っており、ユーザーは過去のメインフレーム資産に手を加えることなく、そのまま利用できるという。NECの代表取締役副社長、川村敏郎氏は、「メインフレーム上では膨大なソフトウェア財産が動いているが、こうしたお客様の資産をどう守っていくかが課題だった」と述べ、その答えが、オープン系CPUを搭載したこのメインフレームだとした。

 ここで問題となるのが、Itanium 2を搭載するということで、ユーザーが信頼性に対して懸念を示すこともあるのではないか、という点。しかし川村氏は「当社では長年、企業の基幹システムをオープンシステムの上で作って、きちんとできると実証してきた。従来のメインフレームと遜色(そんしょく)のないものが作れるという技術の実証は、オープンに力を入れてきた当社だからできた」と語り、信頼性や安定性にはまったく問題ない、ということを強調した。

 また、新メインフレームの特徴は単にIPFを採用したというだけではない。従来のACOS-4 OSに加え、HP-UX、Windows、Linuxの各OSがネイティブで動作することも大きなポイントだ。これら4種のOSを、CPUやメモリを共有させて同時に動かすことが可能なほか、NECのミドルウェア製品群「VALUMOウェア」を使い、必要に応じてサーバーのリソースを動的/静的に分配することができる。このため、「徐々にメインフレームからオープンへマイグレーションすることも可能」(川村氏)で、一度にシステムのマイグレーションができないユーザーでも、同製品を導入すれば段階的な移行を行えるようになるとのこと。


IPFサーバーやEM64T対応サーバーなどで、ラインアップ全般を強化

代表取締役副社長 川村敏郎氏
 このほか、現在NECではPA-RISCを搭載したUNIXサーバー「NX7000」と、IA/IPFサーバー「Express5800」を販売しているが、これらの製品ラインアップも強化を図る。まずは7月8日に発表したIPFサーバー「NX7700i」によって、HP-UX、Windows、Linuxを1台でサポートするマルチOS環境を実現し、サーバーコンソリデーションによるハードウェアコストの最適化、管理コスト削減を提案している。

 Expressサーバーにおいては、同日発表された、インテル EM64T対応Xeon搭載製品を発売し、ラインアップを拡充。さらに、付加価値製品戦略として、NEC独自技術を搭載した高密度実装のブレードサーバー、高信頼性を備えるftサーバーを拡販し、2003年度にはExpressサーバー中15%だったこれらの売上構成比を、2006年には25%まで拡大するという目標を示した。NECでは、Expressサーバーが持つプライスパフォーマンスや、こうした高付加価値を追求し、現在8年連続して首位を守っているPCサーバーシェアNo.1を引き続き堅持するとしている。


プラットフォーム最適化ソリューションで、顧客システム環境の最適化を図る

プラットフォーム最適化ソリューションの概念図
 なお、これらのサーバープラットフォーム強化は、VALUMOウェアなどとともに、同時に発表された「プラットフォーム最適化ソリューション」のシステム基盤となる。このソリューションは、複雑化、断片化した顧客のインフラ環境を、整合性のとれた形で統合し、最適なITインフラ環境の提供を目指すもので、IT投資のほとんどが保守部分に充当されてしまい、新規の戦略的投資へまわらない状況を改善することが目的。

 同社では、「可視化」「コスト削減」「柔軟性強化」「経営基盤強化」の4つの柱のもと、サーバープラットフォーム環境の最適化のような物理的統合だけでなく、資産・資源や運用プロセスなども併せて一貫したサービスを提供し、顧客のTCOパフォーマンスの向上を図る。そのため、110名の部隊を専任でこのソリューションにあたらせる意向だ。

 川村氏は「NEC社内には6000台程度のサーバーがごろごろしており、そのメンテナンスに毎年1000億円ものプラットフォーム投資費用がかかっている。これらを見直すと、200~300億円程度はすぐに節約できるのではないか。各社の経営者は今同じ思いで自社のインフラを眺めている。そういう意味で、最適化ソリューションは強力な事業の柱になるだろう」と述べ、期待を表明していた。同社では年間600~700案件程度を見込んでいる。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0408/0202.html

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( 石井 一志 )
2004/08/02 19:06

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