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日本IBM、EM64T対応CPUを搭載した新IAサーバー

スケールアウト向け新アーキテクチャ「XDA」も同時に発表

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は8月3日、インテル EM64T対応CPUを搭載したIAサーバー「IBM eServer xSeries」の新モデル6種と、ワークステーション「IBM IntelliStation Z Pro」を発表した。今回発表された製品群は、同時に発表された新アーキテクチャ「Xtended Design Architecture」(以下、XDA)を採用して開発されたもので、9月から順次出荷開始となる予定。


ユーザーの課題を解決するための、新アーキテクチャ「XDA」

システム製品事業 xSeries&IntelliStation事業部 事業部長の藤本司郎氏
 何度も言われてきたことだが、現在IT部門が抱える課題としては、ITコスト削減、サービスレベルの維持、ビジネスの変化への適応、リソース利用率の向上、といったものがある。XDAは、そうした「顧客の課題を解決するIAサーバー」を提供するために、IBMが提唱するもので、従来より推進してきたスケールアップ向けの「Enterprise X-Architecture」に対し、スケールアウトを意識したアーキテクチャとなる。

 簡単にいうと、「インテルCPUを利用したシステムを、いかにメインフレームに近づけるかという集大成」だと、システム製品事業 xSeries&IntelliStation事業部 事業部長の藤本司郎氏は説明。この新しいアーキテクチャでは、パフォーマンス、可用性、管理性、フレキシビリティ、といった項目で製品の強化を行い、顧客の要望に応えていくという。

 まずパフォーマンス面では、今回発表された各モデルのように、EM64T対応CPUを採用したこともその一環だ。また製品によって強化策は異なるが、メモリ搭載量の拡張、PCI Expressなど新しいI/Oのサポート、といったことにより、従来製品よりも性能向上を図っている。フレキシビリティ面では、一部モデルに2.5インチHDDを採用したり、HDDの小型化を進めるなど、サーバー1台の中で拡張性を高める仕組みや、32/64ビットのLinux、WindowsへのマルチOS対応(一部予定)を行い、製品の自由度を確保した。

 ビジネスの継続のための重要なファクターとなる、可用性に関しては、新空冷技術「キャリブレート・ベクタ・クーリング」を搭載。これは、同社が長年手がけてきたメインフレームのノウハウを生かした技術で、より発熱量が大きくなる傾向のCPUや、メモリ搭載量の増加による発熱を抑え、安定したシステム稼働を実現するという。

 さらに今回発表された製品では、藤本氏が「10万円を切るサーバーでも、デスクトップPCに毛の生えたような安かろう、悪かろうというものではない」と述べたように、オンボードRAIDを一番下のクラス「xSeries 206」からサポートし、信頼性の底上げを図った。加えて、さらなるダウンタイム軽減を目指し、電源や冷却ファンのホットスワップ対応の強化などもあわせて行われている。


XDAでサーバーがどう変わったか

 こうしたXDAに基づいたIAサーバーとして、今回は6モデルが発表されているが、どう変わったかという点を、2Wayラックマウント型「xSeries 336」を例に見てみる。まずパフォーマンス面では、最新のEM64T対応Xeon 3.2/3.6GHzを2基まで搭載できるほか、従来モデルのxSeries 335ではDDRだったメモリがより高速なDDR2へ変更された。またメモリスロットの数も4から8へ増加し、最大搭載量が16GBへ拡張されているが、メモリも大容量になるとかなり熱を発するため、ここでは新空冷技術が有効に利用されているという。

 HDDはオンボードRAID 1とホットスワップに対応したUltra 320 SCSI HDDを採用しているが、従来の3.5インチHDDに加えて、1Uサーバーではじめて2.5インチHDDを利用できるようにし、最大4台のHDDを筐体内に収納できるようになった。可用性の面では、冗長構成が可能になった電源ユニットと、冷却ファンはともにホットスワップに対応するほか、障害状況をLEDで確認できるLight Path Panelが前面に移動し、ラックに収めたまま障害状況を確認できるように変更されている。さらに、従来は数少ないPCIスロットを使用していた管理モジュール「RSA」を、専用モジュール化。拡張スロットを有効に利用できるようにした。xSeries 336のIBMダイレクト価格は、365,400円から。


xSeries 336。右下に引き出されているのがLight Path Panel Light Path Panelのアップ。異常があった個所をLEDで知らせる。OSに依存しない動作が可能だ xSeries 336がXDAでどう進化したか、という概念図

XM64T対応CPUを搭載した新サーバー

xSeries 226
 このほか、今回発表された製品のうち、すでに提供されているモデルに追加されたのが、EM64T対応Pentium 4 3.2GHzを1基搭載する、1Wayタワー型「xSeries 206」、同1Uラックマウント型「xSeries 306」だ。ともに、前面からHDDが引き出せる「Simple Swap SATAモデル」と、ホットスワップ対応Ultra 320 SCSIモデルが用意された。Simple Swap SATAモデルのIBMダイレクト価格は、メモリ256MB、ディスクレスの構成で、xSeries 206が98,700円から、同 306が186,900円から。

 新型番で発売されるIAサーバーは、前述のxSeries 336と、2Wayタワー型「xSeries 226」「xSeries 236」、同2Uラックマウント型「xSeries 346」の計4モデル。xSeries 226は、EM64T対応Xeon 3GHzを最大2基まで搭載できる製品。最大で6基のHDD(Simple Swap SATAもしくはホットスワップ対応Ultra 320 SCSI)を格納でき、標準でRAID 0/1に対応する。また、メモリは最新のDDR2メモリを採用しており、最大8GBまで拡張可能。IBMダイレクト価格は165,900円より。

 xSeries 236では、EM64T対応Xeon 3.2GHzを最大2基まで、DDR2メモリを最大16GBまで、ホットスワップ対応Ultra 320 SCSI HDDを最大9台まで搭載できるサーバー。RAIDはRAID 1に標準で対応する。またRSAやLight Path Panelの装備などにより、保守性、信頼性を向上させた。IBMダイレクト価格は、325,500円から。

 xSeries 346は、EM64T対応Xeon 3.2/3.6GHzを2基まで、DDR2メモリを最大16GBまで搭載できるラックマウント型サーバー。HDDはホットスワップ対応Ultra 320 SCSIで、最大6台まで格納できる。RAIDは0/1/10に標準で対応。冗長化可能な電源と、冷却ファンはともにホットスワップに対応するほか、xSeries 336と同様、前面に備えたLight Path Panelによって、ラックに収めたまま障害状況を確認できる。IBMダイレクト価格は417,900円から。

 なお今回は同時に、ブレードサーバー「Blade Center HS20」のEM64T対応版と、エントリー向けストレージサブシステム「IBM TotalStorage DS400」「同 DS300」の開発表明も行われた。後者のストレージ製品は、中堅・中小企業向けの廉価版ストレージという位置付けで開発されるもので、FC接続に加えて、iSCSIにも対応する予定となっている。最大容量はそれぞれ2TB/5.8TBで、発表は9月となる見込み。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-6.ibm.com/jp/NewsDB.nsf/2004/08031


( 石井 一志 )
2004/08/03 19:01

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