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「Spinnakerを糧に」ストレージグリッド構想を強化するNetApp


NetApp ゲートウェイ・ビジネス・ユニット担当本部長兼副社長、ジェフ・ホーナング氏

同社が目指すストレージグリッドの将来像。現時点でfilerやgFilerにこのゲートウェイ機能はない
 日本ネットワーク・アプライアンス株式会社は9月3日、プレスミーティングを開催し、現在米Network Appliance(以下、NetApp)で取り組みが進められている、ストレージグリッドについての説明を、NetAppのゲートウェイ・ビジネス・ユニット担当本部長兼副社長、ジェフ・ホーナング氏が行った。

 ストレージグリッドとは、分散するストレージリソースを、あたかも1つのものであるように運用・管理できるシステム。NetAppの場合は、サーバーやクライアントからストレージへのアクセスを、ゲートウェイ製品が仲介することで実現する。ユーザー側には、物理的なデータがどこに格納されているのかを意識せずに利用できるというメリットがあり、また仮想化によってストレージの利用率をあげることが可能なため、ハードウェアの取得コストが抑えられるという。

 ストレージグリッドという考え方自体は、NetAppだけのものではない。それに関してホーナング氏は、「競合ベンダとはどこが違うかというと、当社のシステムではクライアント側の変更が不要な点だ。たとえばHPのLustreにしろ、IBMのStorage Tankにしろ、クライアント側に特別なソフトが必要。グリッドのために(わざわざ)特別なソフトをのせるという考え方は、顧客にはなじまないだろう」と、NetAppならではの優位点を語る。

 もっとも、現時点でのストレージグリッドは、まだまだ完全なものとはいえない。NetAppでも早期の完成を目指すべく取り組みが続けられており、SANとNASを統合したストレージアーキテクチャや、仮想的なデータコンテナを運用する技術など、もともと持っていた技術に加え、SpinNPプロトコルなど、2004年1月に買収が完了した米Spinnaker Networksの技術を投入し、その強化を図っている。

 まず、「グローバルネームスペース技術によって、どのデータがどこに格納されているかを意識しなくても、アクセスを行えるようにする」(ホーナング氏)。クライアントは、ファイルが1カ所にあるかのように意識しなくともデータへアクセスできるほか、1つのファイルシステムを管理するだけですむため、管理者側にもメリットがある。

 また、システムを停止させずにデータ移動が行える技術も、新たに導入された。これは、データの必要度によって保存先を変えるILM(Information Lifecycle Management)や、長期のデータ保存が必要になるコンプライアンスのソリューションで重要な要素。たとえばアクセス頻度が落ちたデータを、高価なFCストレージから安価なATAストレージに、システムが稼働したままの状態で移動させることができる。ユーザーはデータの移動後も何ら意識することなく、移動前と同じようにアクセスを継続して行えるという。


 こうした機能を搭載したNetApp製品は、米国ではすでに一部製品が出回っているものの、日本での投入は2004年冬から2005年の春ごろになる見込み。というのも、NetAppではこうしたSpinnaker製ゲートウェイのOS「SpinOS」が持つ技術を、同社のOS「Data ONTAP」に対して段階的に取り込んでいる最中。「現段階では複雑な仕組みを採用しており、そのままリリースすると日本のユーザーを混乱させる恐れがある。もう少し統合された形になってからの提供になるだろう」と、日本ネットワーク・アプライアンスの代表取締役社長、鈴木康正氏はその理由を説明した。なお、完全な統合は2006年をめどに完了させる予定だ。


SpinNPプロトコルの仕組み グローバルネームスペースの仕組み


URL
  日本ネットワーク・アプライアンス株式会社
  http://www-jp.netapp.com/

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( 石井 一志 )
2004/09/03 16:24

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