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米Hewlett-Packard Companyの上級副社長兼ジェネラル・マネージャ、ボブ・シュルツ氏
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日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は10月7日、新ストレージアーキテクチャ「HP StorageWorks Grid」と、同アーキテクチャを利用したソリューション「HP StorageWorks Reference Information Storage System(以下、RISS)」を発表した。RISSは、11月上旬より順次出荷が開始される予定。
HP StorageWorks Gridは、「スマートセル」と呼ばれるモジュールに属性を付け、企業のポリシーに応じてデータを効率的に格納、活用できる仕組みを提供しようとするアーキテクチャ。インテリジェントデバイスをグリッドに入れ込むため、高速でデータを検索できる、データの重要度に応じた構成変更がフレキシブルに行える、グリッドの管理・運用を容易にする、といったメリットがあるという。
RISSは、このHP StorageWorks Gridを利用したソリューションの第1弾として提供されるもので、効率的なメール保管を提供するシステム。現在の米国では、メールを含む電子通信記録の保存を義務づけた、SEC(米証券取引委員会) 17a-4をはじめとする各種法規制の要求が厳しくなっており、コンプライアンスがITの重要な要素となってきている。今回のRISSはこうした流れをうけて用意され、同製品を利用すると、メールを確実に保存するとともに、必要時には目的のメールを的確に、かつ迅速に探し出せるという。
RISSでは、保存対象となっているメールアカウントでメールの送受信が行われた場合、メールボックスから自動的にデータを読み込み、本文だけでなく、メールヘッダ、添付ファイルを含めて同製品内のストレージへ保管する。こうして保存されたRISS内のデータには、配信時間のデジタル署名、タイムスタンプが押されるため、非改ざんの証明が可能になるほか、保存期間が終わるまではデータの抹消、変更は一切できなくなる。
また、インストールや運用・管理方法は単純化されており、容易に使用できるほか、いったん保存されたデータの中からメールを検索する必要が生じた場合には、Webベースのインターフェイスを用いて、素早く探し出す能力を持っているという。
米Hewlett-Packard Companyの上級副社長兼ジェネラル・マネージャ、ボブ・シュルツ氏は「1000通でも10億通でも関係なく、(メールの)インデックス化と検索時間3秒を達成できる。より複雑な競合他社のシステムを管理しなくてはならなかったデータベース管理者のコストを含めて、(RISSを導入している)NASDAQでは1年に30万ドル近くのコスト削減を実現した。このほかにも、詳細は明らかにできないが導入は堅調に推移している」と述べ、RISSの優位性を強調した。
もっとも、現時点の日本ではそれほど法規制は厳しくなく、こうしたソリューションは一見必要ないように思える。しかし日本HPによれば「外資系企業では海外に従った運用になるし、日本企業でも米国内に登記している場合は、米国企業と同様の対応が必要になる。また、現行法の範囲内であっても、コンプライアンスを会社としてどうマネージメントしていこうか、と考えている企業もある」とのことで、まだ下積み段階ではあるものの、今後は確実に必要となるだろうという見解を示した。
RISSの価格は、使用可能な論理容量が1TBのベースシステムで2200万円(税別)から。これに加えて、アーカイブ用ソフトウェアの使用権(500ユーザーから、無制限ライセンスあり)が必要となる。容量の拡張は、最大で200TBまで行える。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
プレスリリース
http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2004/fy04-179.html
( 石井 一志 )
2004/10/07 19:45
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