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日本IBM、価格と性能で「他社を周回遅れにする」SANストレージ新製品


 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は、POWER5による仮想化技術を採用したSANストレージの最上位機種「IBM Total Storage DS6000」と、コンパクトモデル「IBM Total Storage DS8000」を10月13日より発売、12月3日より出荷する。価格は、DS8000がストレージ容量1.1TB、2Wayの最小構成で1億701万6000円、DS6000は最小構成の584GBで1612万2750円。


IBM Total Storage DS8000

IBM Total Storage DS6000

日本IBM システム製品事業 ストレージシステム事業部長 松崎耕介氏
 両製品とも、ストレージコントローラにPOWER5を採用するとともに、内部バスを高速化したことで性能が向上している。4CPU構成のDS8300 モデル922では、これまでの最上位機種「IBM Total Storage ESS 800」と比べ処理能力は最大6倍となる。

 製品に採用されている仮想化技術は、同社のPOWER5搭載サーバーで実績のあるLPAR(ロジカルパーティション)技術。日本IBMではこれまで、ストレージ仮想化技術として、他社ストレージを含む複数ストレージサブシステムのボリュームを1つに仮想化する製品を2003年7月に、またディスクアレイ上のファイルの所在をメタデータとしてサーバーに格納する製品を2003年11月に発表している。また9月にはミッドレンジ向けストレージ製品「DS4000」を発表し、ストレージブランドを「DSファミリー」に統一していた。

 今回採用のLPARは、1CPUを複数の論理区画に分割して処理の配分を設定できるもの。CPUひとつに障害が発生しても、パフォーマンス劣化を最小限にとどめられる。現時点では出荷段階で設定されているが、今後テストを重ねることで稼動中の割当変更を実現するという。また将来的には、負荷に応じて自動的にCPUリソースとキャッシュサイズを割り当てることを目指すという。

 DS8000では、ストレージ容量を最大で192TBまで拡張でき、キャッシュサイズ4CPUを搭載するDS8300が32GBから256GBまで、下位モデルで2CPU搭載のDS8100が16GBから128GBまでとなっている。将来的には「8Wayに拡張したモデルも提供する予定」(日本IBM システム製品事業 ストレージシステム事業部長 松崎耕介氏)とのことだ。

 DS6000は、3Uラックマウントサイズの筐体に4.8TBまでを搭載できるコンパクトモデル。拡張エンクロージャを13台まで接続できるため、最大で67.2TBまでの拡張に対応する。キャッシュサイズは4GB。アーキテクチャはDS8000と同一なため、ディザスタリカバリサイトを安価に構築する、といった導入も可能だ。さらにストレージ容量の増加、低発熱のPOWER5採用とあわせ、ロジック回路の設計面でも、サーバー製品の技術を応用することで、従来のESS 800の1/3となる0.12W/GBの容量あたりの低消費電力効率を実現している。また「部品共通化による低価格化や品質の安定でも恩恵がある」とした。

 両機種ともにディスクドライブは73/146/300GBを2Gb FCで内部接続する。また従来機種であるESS 800との互換性もあり、機能はすべてサポートされているほか、混在も可能となっている。また接続対象となるサーバー、ディスクサブシステムともに、IBM製品のほかEMCや日立のストレージ、SunやHPのサーバーなど他社システムをサポートしている。


IBM Total Storage DSシリーズのラインアップ POWER5搭載サーバーの技術「LPAR」をストレージコントローラに採用 将来的にはCPUリソースの動的な割り当てを実現するという

日本IBM 常務執行役員 システム製品事業担当 橋本孝之氏
 日本IBM 常務執行役員 システム製品事業担当の橋本孝之氏は、今回の新製品の3つの特徴として、POWER5搭載によるロジカルパーティション技術の採用をはじめとしたサーバーテクノロジとの融合、設置スペース、価格ともに1/3となるコンパクトモデル発表による新分野への市場拡大、価格に4年間の保守が含まれる上で、日立のストレージ新製品と比べて同金額で約3倍の容量となるアグレッシブな価格を挙げ、「他社を周回遅れにする新製品」と豪語した。

 また「現在、サーバーとストレージの市場はほぼ同等だが、ストレージの方が伸び率が高いと予想され、とくにミッションクリティカル分野での伸びは大きいと見ている。今後は他社サーバーと組み合わせるストレージ単体のビジネス増加も見込まれる。ストレージでのシェアを高めたい」と語った。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www.ibm.com/news/jp/2004/10/10131.html
  IBM TotalStorage DS6000/DS8000
  http://www-6.ibm.com/jp/storage/products/disk/ds_index.shtml

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( 岩崎 宰守 )
2004/10/13 19:10

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