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NEC、水冷サーバーなどIAサーバーの新製品を投入

10年目の節目迎え、ラインアップを一新

第二コンピュータ事業本部長・大武章人執行役員

今回発表した新製品群
 日本電気株式会社(以下、NEC)は10月18日、IAサーバー「Express5800シリーズ」に、静音性、低消費電力、ウイルス対策、防塵対策などを向上させた新製品57モデルを発表した。

 今回の製品群は、「1994年11月24日に第1号製品を投入以来、過去10年にわたって、常に最新技術をいち早く投入し続け、日本の顧客ニーズに応えてきたExpressシリーズの新たな製品群」(NECの第二コンピュータ事業本部長・大武章人執行役員)と位置づけており、静音性を実現した業界初の水冷サーバーなどを新たに投入した。

 今回投入したのは、水冷サーバーであるExpress5800/110Ca、省電力および高密度のブレードサーバーのExpress5800/110Ba-e3、EMT64T搭載高性能ブレードのExpress5800/120Ba-4など。

 Express5800/110Caは、従来45~50dBだったサーバーの騒音を、水冷化によってCPUファンを排除することで、30dB以下の静音化を実現した1Wayサーバー。一般オフィス、店舗、図書館、病院といった騒音が嫌われる場所でのサーバー利用に適しているとしている。

 同社・大武執行役員は、「性能を落としてまで水冷化、静音化を図るつもりはない。Express5800に搭載している高信頼性技術の採用とともに、メインフレーム、スーパーコンピュータで実績がある水冷技術の採用によってこれを実現した。また、サーバー監視ソフトのESMPROによって、水冷ユニットの監視や問題点の早期発見を可能にした。水冷ユニットは、5年間メンテナンスフリーで利用できる」としている。

 CPUには、Pentium 4 3E GHzを採用。512MBメモリを搭載。静音タイプのHDD 3台をディスクアレイ構成として搭載可能としている。価格は18万8000円。12月27日から出荷を開始する。

 Express5800/110Ba-e3は、ノートPC並の25Wの省電力化を実現したブレードサーバーで、3Uのラックに最大20台の搭載が可能。データセンターやISP、キャリアなどに最適化した製品として提供していく。Pentium Mを搭載し、RAID対応の2.5型HDDによってホットプラグ対応を可能としている。価格は25万7000円。

 Express5800/120Ba-4は、EM64Tを搭載した高性能ブレードサーバーに位置づけられる製品。Xeon 3.60GHzを搭載し、DDR2-400に対応したメモリを最大8GBまで搭載可能。運用管理チップやリモート管理ソフトの標準搭載のほか、4Uラックに最大6台を搭載できる。価格は32万8000円から。


水冷サーバーのExpress5800/110Ca これが搭載される水冷システム ブレードサーバーのExpress5800/120Ba-4

 そのほか、情報漏えい対策を強化したセキュリティソリューションのExpress5800セキュリティ・ソリューション、顧客ニーズに対応するためのカスタマイズメニューのExpress5800カスタマイズ・メニューをそれぞれ用意した。

 「セキュリティやカスタマイズは、個別にユーザー対応していたが、今回、これを体系化およびパック化、メニュー化したことで、幅広いユーザーに提供できるようになる」(大武執行役員)という。

 ウイルス感染時などに管理者の携帯電話やPCなどに通報を行う「Express5800セキュリティ通報サービス」、チェックリストをベースに情報漏えい対策の現状を診断する「情報漏えい対策クリニック」サービスなどを用意したほか、接続が許可されていないPCからもネットワーク接続を禁止し、ネットワーク全体をウイルスから守る「不正PC接続対策パック」、共有ファイルからのデータの持ち出しや改ざんを防止する「セキュアファイルサーバパック」などをラインアップした。


今後10年もトップシェア維持に意欲

 一方、大武執行役員は、10年目の節目ということもあって、今後の抱負についても触れ、「3年後には、出荷台数では倍増となる年間20万台、シェアで25~30%を獲得し、トップシェアを維持したい」と語った。

 調査会社などの資料によると、IAサーバー分野におけるNECのシェアは20%を超え、8年連続でトップシェアを獲得している。今年の第1四半期は、デルに抜かれたものの、第2四半期は23.7%とトップシェアを維持しているという。

 「第1四半期は900台程度負けたが、第2四半期は約2000台上回ったと見ており、上期はトップだろう。7~9月はギリギリでトップになったはず。前年比120%で推移すれば、年間トップシェアを獲得できる」と話し、「確実に黒字を維持しており、シェアと収益の両方にこだわりたい」とした。

 また、大武執行役員は、「デルや日本HPに比べて、日本のユーザーに適した製品を、最新の技術を搭載する形で、いち早く投入する点がExpress5800の特徴。それがNECの生きる道でもある」とも語った。

 省スペース製品、水冷化による静音性の実現、個別カスタマイズへの対応のほか、Gモデルでは2営業日での製品提供、NECフィールディングによる全国436カ所のサポート・サービス体制などが外資系ベンダーにはない強みだと訴えた。

 今後は、標準サーバー製品に加えて、フォールトトレランスサーバーやブレードサーバー、静音サーバーといった付加価値サーバー製品群、IPネットワークとの融合製品、サポートおよびサービスの強化に、あらゆる面から取り組んでいく姿勢を示した。

 なお、サーバーの中古ビジネスについては、「ユーザーからはあまり問い合わせがなく、むしろ、最新のテクノロジーを低価格で提供してほしいという声が多い。そうした意味からもまだ先の話」とした。


Express5800シリーズの10年間の歴史 次の10年もトップシェアを目指す考えを示す


URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0410/1801.html


( 大河原 克行 )
2004/10/18 14:41

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