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NEC、1秒間に65兆回の演算ができる“世界最高性能”スーパーコンピュータ


SXシリーズ モデルSX-8(シングルノード)
 日本電気株式会社(以下、NEC)は10月20日、ベクトル型スーパーコンピュータ「SXシリーズ モデルSX-8」(以下、SX-8)を発表した。出荷開始は12月末を予定している。

 SX8は、科学技術計算専用の高速プロセッサであるベクトル型プロセッサを搭載した、スーパーコンピュータで、最大512ノードまでの構成が可能な製品。シングルノード(8CPU)で最大128GFLOPSのベクトル処理性能を持ち、512ノード構成では最大65TFLOPSと「世界最速」(NECの執行役員常務、近藤忠雄氏)の処理能力を実現できるという。

 また、「今回は実装密度の改善により、以前にも増した集積を可能にした」ため、最大512ノード、4,096CPUと従来機「SX-6」の4倍のスケーラビリティを達成したほか、性能あたりに必要なスペースを、SX-6比で1/4に、同じく電力を1/2に軽減した。


8ノード時の構成イメージ SX-8のCPU メモリユニット(MMU)

ベクトル型スーパーコンピュータの優位性

執行役員常務、近藤忠雄氏

スカラ型とベクトル型のメモリ性能の違い(概念図)
 近藤氏が終始強調していたのは、ベクトル型の「スカラ型」に関する優位性だ。スカラ型は、Itanium 2などの汎用プロセッサを多数並列接続することで高速処理を実現する方式で、現在のスーパーコンピュータの主流となっているもの。9月に「世界最速を記録した」と米IBMが発表した「BlueGene/L」も、このスカラ型のスーパーコンピュータになる。

 しかし近藤氏は、「一般的なHPCのアプリケーションは大量のデータハンドリングをするため、CPU性能だけでなくメモリ-CPU間の転送能力が処理能力を左右する。またノード自体の計算結果とほかのノードのそれとをやり取りする必要もあるので、ノード間の転送速度も性能に影響する」と述べ、実効速度を重視するのであれば、スカラ型には明らかな限界があると主張する。それは、汎用プロセッサを利用するがゆえの「CPU-メモリ間・ノード間のデータ転送速度の限界」(同氏)からだ、というのである。

 一方SX-8では、SX-6で36.8TB/秒だったCPU-メモリ間速度を最大262TB/秒へ高速化したほか、「高速ノード間転送装置(IXS)」を用いて行うノード間転送速度も、最大8TB/秒のスペックを持つ。これによるメリットを気候、衝突解析などのアプリケーションを例に挙げて説明した近藤氏は、「メモリのスループットでは、ベクトル型とスカラ型の間に20倍、ノード間接続速度は30倍の開きがある。IBMがスカラ型で36TFLOPSを出したといっても、データ転送能力を必要としないベンチマーク上の数字。実アプリケーションでの結果ではない」と述べ、SX-8が持つ実効性能の高さに対して自信を示した。

 NECでは、このSX-8を、気象、自動車、ナノテクノロジー、エネルギー、創薬分野など、高い処理性能が要求される分野に向けて販売する意向。目標は「3年で700台」としているが、これは同社が20年前にベクトル型スーパーコンピュータをはじめて手がけてから、現在までに販売した数と同数だという。これに関して近藤氏は「今回はプライスパフォーマンスが大幅に改善している。実現可能だ」とコメントした。価格はレンタル方式で、117万円/月(税別)より。

 なお、すでにSX-8には100台以上のオーダーがあり、採用第1号として、英国の気象庁に15ノード、独シュトゥットガルト・ハイパフォーマンス・コンピューティングセンター(HLRS)に64ノードの納入が決定しているとのことだ。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0410/2001.html


( 石井 一志 )
2004/10/20 17:05

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