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ストレージテックがILM実現に向け製品を拡充、中位テープライブラリなどを発表


ストレージテックが考えるILMの4段階と、今回の製品の位置付け
 日本ストレージ・テクノロジー株式会社(以下、ストレージテック)は10月21日、ミドルレンジのテープライブラリ「StreamLine SL500モジュラー・ライブラリー・システム」(以下、SL500)の販売開始と、従来製品「L-シリーズ」の最大40%の値下げを発表した。また同社はあわせて、FCストレージ「Dシリーズ」とシリアルATAストレージ「Bシリーズ」を統合し、「FlexLine 200/300シリーズ」として提供することも発表している。

 ストレージテックでは2年ほど前から、情報の「価値」を見極めそれを最適なストレージに配置するという、ILM(Information Lifecycle Management、情報ライフサイクル管理)を提唱しており、これまでも確固たるビジョンに従ってオンラインからアーカイブまでの各製品を提供してきたという。


柔軟な拡張性を持ったミドルレンジテープライブラリ

StreamLine SL500モジュラー・ライブラリー・システム

マーケティング本部 フィールドマーケティンググループ シニアスペシャリスト 吉岡雄氏
 今回発表された製品もその流れに沿ったもので、このうちSL500は、利用頻度の少ないデータを格納する、ニアライン~アーカイブを受け持つ製品だ。同製品は19インチラックを利用するモジュラータイプのテープライブラリで、テープドライブはLTO gen2に対応しており、基本モジュールでは同ドライブを2台まで、テープカートリッジを50巻まで収納できる。StreamLineシリーズとしては5月に発表されたSL8500があるが、同製品がハイエンド向けの大型製品であったのに対し、SL500はミドルレンジ向けの製品となる。

 この製品がL-シリーズと異なるのは、「柔軟な拡張性を持っていること」(マーケティング本部 フィールドマーケティンググループ シニアスペシャリスト 吉岡雄氏)。たとえばエントリ製品の「L20」では、カートリッジ20巻、テープドライブ2台までの対応に限られており、それ以上の環境に拡張するためには、買い換え、買い増ししか方法がなかった。

 しかしSL500では、LTO gen2を4台まで、カートリッジを93巻まで格納できる「ドライブ拡張モジュール」と、カートリッジを132巻まで納められる「カートリッジ拡張モジュール」を合計4台まで増設することができる。このため、テープドライブ1台、カートリッジ30巻からのスモールスタートが可能な製品ながら、テープドライブを最大18台まで、カートリッジを最大577巻まで収納可能な、高いスケーラビリティを実現したという。

 「Lシリーズの価格改定もあって、似た構成ではSL500の方が初期コストは高くなるが、柔軟な拡張ができるというメリットがある。年々データ容量が仮に50%ずつ増加していくとすると、(買い直しが必要な)現行製品と比べて、ハードウェア投資は2/3に抑えられる」(吉岡氏)。

 また、コンパクト化によって設置面積あたりのスロット密度を従来製品の倍以上に向上させたほか、L-シリーズでは上位製品しか対応していない、ネイティブファイバーチャネル環境もサポート。なお、テープドライブは現在LTO gen2にのみ対応しているが、今後はSDLTにも対応し、両者の混在もできるようにする予定とのこと。

 ストレージテックではSL500のこうした特性を生かし、従業員200名以上の企業、中規模のデータセンターや企業の部門をターゲットとして販売を行う意向だ。同製品の価格は、232万8000円(税別)より。


FC/SATA両ディスクアレイの混在で投資削減が可能に

マーケティング本部 フィールドマーケティンググループ シニアスペシャリスト 常和尚志氏

「FlexLine 200/300シリーズ」のラインアップ
 一方、一番使用頻度の高いデータが納まる「オンライン」と、その次の「インライン」カテゴリに属する製品を統合したものが、FlexLineシリーズだ。従来はDシリーズとBシリーズを同時に利用する場合でも、ディスクコントローラはそれぞれ専用のものを利用しなければならなかった。しかし今回のシリーズ統合により、コントローラ「FLXシリーズ」1台で、「FLAシリーズ」(旧Dシリーズ)とSATAストレージ「FLCシリーズ」(旧Bシリーズ)の双方を接続できるようになった。

 これは、ストレージ管理ソフトウェア「SANtricity」のバージョンアップで実現したという。今回投入される新バージョン「SANtricity 9.1」では、目的に応じて多数存在したラインアップを、SANtricity Enterprise/Entryの2種類に集約するとともに、プライマリ/セカンダリの両ストレージを混在利用できるようにした。「1台のコントローラで混在利用できるため、40%の投資を削減できる。既存ユーザーもバージョンアップで対応可能」(マーケティング本部 フィールドマーケティンググループ シニアスペシャリスト 常和尚志氏)。

 さらに今回は「大容量ストレージを安価に利用したいという声に応え」(常和氏)、エントリクラスのコントローラ「FLX210」を、また大規模ストレージシステムの拡充のため、FCディスクアレイの上位製品「FLA300」を、新たに発売する。

 FLX210は、SATAディスクアレイ「FLC200」とだけ接続できるコントローラ。本体内に4基のSATA HDDを格納できるほか、最大7台までのFLC200と接続でき、トータルで112台、28TBまでのストレージシステムを構築できる。価格は350万円から。

 FLA300は、最大14台までのHDDを内蔵できるFCディスクアレイ。従来機「FLA200」などで採用しているループ型トポロジでは、ほかの装置を経由してデータ転送などが行われるため、大規模環境では速度が落ちてしまう欠点を持つ。しかしFLA300では内部コントローラとHDD間の接続に、直接データ転送が可能なスイッチ型トポロジを採用したため、処理速度の向上が図れたほか、大型システムでの利用時にもパフォーマンスの低下を防ぐことができるという。



URL
  日本ストレージ・テクノロジー株式会社
  http://www.storagetek.co.jp/
  プレスリリース(SL500)
  http://www.storagetek.co.jp/company/pressroom/2004/041021_sl500.html
  プレスリリース(FlexLine 200/300シリーズ)
  http://www.storagetek.co.jp/company/pressroom/2004/041021_fl.html

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( 石井 一志 )
2004/10/21 17:06

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