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富士通、ディスクとテープ併用で最大8PB保存可能なストレージ


バーチャルディスクコントローラー「ETERNUS VD800」

ストレージシステム事業本部ストレージソリューション事業部長 松島等氏
 富士通株式会社は10月26日、ストレージにおけるディスクアレイとテープドライブを組み合わせることで最大8PB(ペタバイト)のデータを利用可能とする「ETERNUS バーチャルディスクライブラリ(以下、バーチャルディスクライブラリ)」システムを発表、同日より販売を開始した。出荷は2005年1月31日より。

 バーチャルディスクライブラリは、バーチャルディスクコントローラー「ETERNUS VD800(以下、VD800)」と、すでに発売されているテープライブラリ「ETERNUS LT160(以下、LT160)」を組み合わせたシステム。VD800とLT160上の記憶領域を仮想化し、両方のデータを同じ環境で使用可能なことで既存のアプリケーションからも利用できることが特徴。同社では安価なテープ媒体を活用することで、すべてのデータをディスクアレイに保存した場合と比較して保存コストを最大90%削減できるとしている。

 保存されるデータは、アクセス頻度の高いデータは高速なVD800に残り、一定期間アクセスのないデータはLT160に自動的に移動される。移動のタイミングはポリシー設定が可能。データは2つのテープ媒体へ二重化して保存することができる。ストレージシステム事業本部ストレージソリューション事業部長の松島等氏は、専用のバックアップソフトを使わずにデータをテープに移動できることから「バックアップ作業が不要となる」と優位性を説明する。また、LT160上のデータをテープメディア耐用年数内に次世代ライブラリ製品に自動的に移動する「新陳代謝機能」にも対応する。なお、自動でLT160に移動していないVD800上のデータのバックアップも可能だという。

 バーチャルディスクライブラリはSANへの接続に対応し、複数サーバーからのアクセスにも対応する。サーバーの対応プラットフォームはSolarisとRed Hat Linux。Windowsにはファイルアクセス方式の都合上未対応となっており、同社では「将来的には対応を検討したい」としている。


ETERNUS バーチャルディスクライブラリの機能イメージ 新陳代謝機能のイメージ

 LT160に移動したデータはVD800上のデータと同様にアクセス可能だが、テープから読み出すため、シークタイムは平均で3分ほどかかり、ランダムアクセスで1時間に80回程度しか読み出すことができないという。松島氏は「Webブラウザ上に合図を出したり、読み出し完了時にメールで知らせるようなアプリケーションの作り込みが必要となる場合もある」と説明する。

 価格はVD800のディスクアレイ総容量が4.38TB、LT160のテープ総容量が19.6TBの最少構成で6498万円。同社では今後2年間で100システムの販売を目標としている。

 松島氏は「従来のように紙の書類をキャビネットや倉庫に保管している企業はまだ多い。こうしたところでは書類格納や区分けや参照する際の取り出しなどで、意識されていない大きなコストがかかっている」と従来方式の問題点を指摘し、参照・保管が容易な電子化された書類保管システムのメリットを説明した。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2004/10/26.html

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( 朝夷 剛士 )
2004/10/26 15:58

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