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三菱電機、RFID間の電波干渉を防ぐ技術を開発


情報技術総合研究所 データマネジメント技術部長 高畑泰志氏
 三菱電機株式会社は11月11日、RFIDタグにおける読み取り装置(リーダー)間の電波干渉を防ぎ、通信距離を向上させる技術を開発したと発表した。

 今回発表された技術は、物流・商品管理での利用が見込まれるUHF(950MHz)帯RFIDにおいて、RFIDタグからの電波を受信するリーダー装置同士で発生する干渉を、独自の「送受周波数分割方式」で回避するもの。さらに微弱な電波の受信電力からより高い電圧を得るための「微弱電界レクテナ技術」を適用することで、電池を搭載しないパッシブ型RFIDタグにおいて最長7m離れた場所からの読み取りが可能となるという。

 同社情報技術総合研究所データマネジメント技術部長の高畑泰志氏によると、従来のUHF帯RFIDシステムはリーダーから送信される電波と、タグからの微弱な反射波によるレスポンスが同一のチャンネルであったため「最大10km範囲内に同じチャンネルを利用するリーダーが稼働していると電波干渉が起こり正確な読み取りができない恐れがあった」。そこでリーダーが発する電波とRFIDタグからの反射波の周波数を分割し、リーダーと連携する別の受信装置で受信することで干渉を防ぐことができるという。なお、実用化の際には送信・受信装置は一つの筐体に収めることができるとしている。


RFIDのシステムと種類 RFIDの通信例 電波干渉の問題

実験の様子
 また、RFIDタグが電波を検知する検波回路を積層構造にすることで、リーダーが読み取れるレスポンスを返すことができる距離が「従来の最大3m程度から最大7mまで、実効で4~5m程度」に伸ばすことができるという。これは「実用化に向けて必要とされる範囲内であり、現在の技術で最高水準」という。

 発表会では実験として専用ルームにて約7m離れたところにある同技術を利用したRFIDタグのレスポンスを測定したところ、干渉波を発生させても、ほぼ正常に読み取ることができた。

 高畑氏は「日本などRFIDに利用できる周波数が限られている地域において特に有効な技術」と送受周波数分割方式の優位性に自信を見せる。ただし同方式を採用しないRFIDが近隣に存在すると干渉を免れることができない。同社では2005年より標準化提案行うとともに、実用化に向けた装置の小型化・停電力化を進めていくとしている。



URL
  三菱電機株式会社
  http://www.mitsubishielectric.co.jp/


( 朝夷 剛士 )
2004/11/11 16:43

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