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NEC、FOMAを利用したモバイルライブ放送システム


 日本電気株式会社(NEC)は11月25日、FOMAなど第3世代携帯電話のデータ通信を利用してライブ映像・音声を配信する伝送システム「MobileStream」を発売した。出荷開始は2005年2月を予定している。

 MobileStreamは、映像圧縮方式にMPEG2や4と比較して約2倍以上の圧縮効率を実現する「H.264」と、FOMAなど第3世代携帯電話のデータ通信カードを4枚使用して一度に通信を行う「バルク転送方式」を採用する小型映像伝送システム。従来必要であった中継車を介さず、1~2人程度の少人数でライブ放送を実現する。

 MobileStreamは、ショルダーバックサイズ(W294×D150×H253mm)で重量4.5kg(バッテリー込み)の「モバイル高品位映像伝送装置」と、送られてきた映像・音声データを受信しデコーダーに送る「ハンドリングルータ」、PC上でデータを復元し再生するソフトウェア「H.264ソフトウェアビューア」で構成される。なお、データ再生はH.264対応のデコード装置でも可能で、テレビへの出力もできる。


MobileStreamシステムのイメージ モバイル高品位映像伝送装置 MobileStreamを使ったライブ放送スタイルのイメージ

執行役員 粉川英夫氏
 伝送装置からバルク転送方式で送信されたデータは、FOMA網やISDN回線を通じてハンドリングルータに届けられる。伝送時は通話と同様に通信費がかかるが、1回線で1分間50円とすると4回線で200円、1時間12,000円程度。なお、映像はモバイル側からの片方向のみだが音声は双方向通信が可能。

 映像品質は解像度352×288pix、フレームレート最大15fps、平均ビットレートは150~200kbps、カメラ画素にすると「10万画素程度」とのこと。発表会で行われた屋外からのライブ放送デモでは、映像を拡大しても大きな違和感はなかったが、若干のコマ落ちも見受けられた。音声はFOMAの音声通信と同程度。

 同社執行役員の粉川英夫氏は、「(映像・音声)品質がまだ従来の放送レベルに達していないため、置き換えるのではなく今までと違う使い方を可能とすることで新しい価値を見いだせるのではないか」と語った。FOMAの通話圏内であればどこでも利用できるため、離島や地下街などからの放送や災害時など速報性が求められる場面などで威力を発揮できるとしている。

 なお、FOMA以外の第3世代携帯電話への対応については「理論上は可能だが、需要を見ながらオプションでの対応などを検討する」という。

 価格はモバイル高品位映像伝送装置、ハンドリングルータ、H.264ソフトウェアビューアのセットで735万円(税別)。同社では今後3年間で500システムの販売を目標としている。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0411/2503.html


( 朝夷 剛士 )
2004/11/25 16:57

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