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日立超L、データの書き換えが可能な無線ICチップ「ミューチップRW」


ミューチップRW(アンテナ付属のインレット)

ミューチップRWと関連製品など
 株式会社日立超LSIシステムズは12月7日、記録データの書き換えに対応した2.45GHz帯マイクロ波対応無線IC(RFID)チップ「ミューチップRW」と、データの読み取りや書き換えを行う「リーダ/ライタ」を発表した。2005年第2四半期から量産出荷開始の予定で、チップのプロトタイプやリーダ/ライタ、評価ソフトなどがセットになった開発者向け「評価キット(95万円)」が12月9日から販売開始される。

 また、このミューチップRWはT-Engineフォーラム内に設置されている「ユビキタスIDセンター」が認定する「ucode認定 Category1 class1」を同日に取得した。

 ミューチップRWは、1.5mm角のチップ上に110バイトのデータ書き込み領域と18バイトの書き換え禁止領域の計128バイトを搭載している。書き換え可能回数は10万回。リーダ/ライタとの通信距離は最長60cm。アンテナは外付けでつけるものの形状や大きさに合わせることができる。また、複数のミューチップがあっても正常に読み書き(最大30個まで確認)が可能な「ふくそう制御機能」を搭載している。

 同時発表されたリーダ/ライタは、読み取り装置と制御装置に分かれており、読み取り装置は最小でも手のひらほどの大きさがあるが、今後PCカード型を2005年6月に、さらにCF型や2.45GHz/13.56MHz両方の読み書きが可能なマルチプロトコル対応型を開発していく予定としている。


日立超LSIシステムズ 代表取締役 小切間正彦氏

東京大学教授 坂村健氏
 日立製作所ミューソリューションズ事業部事業部長の井村亮氏は「読み出し専用(ROM)と書き換え可能(RW)の無線ICチップを併用したいとする案件が増えてきている」と、書き換え可能な無線ICチップの需要が増加していることを説明した。そこで「当社ではROMとRW、それにUHF帯を利用する“響(ひびき)”を、用途に合わせて提供していく」との方針を示した。

 代表取締役の小切間正彦氏によると、現時点での予定価格はミューチップRW50個で5万円(1個1000円)で「普及に向けては高いと認識している」という。その上で「2005年末には1個100円に、最終的には20円程度まで抑えたい」とした。

 発表会に同席したT-Engineフォーラム会長で東京大学教授の坂村健氏は「無線ICタグをつけるものや場所などにより、最適なチップが異なるため用途に応じたチップが必要となる」と述べ、さらに「1つで多くの種類のチップに対応できるマルチリーダ/ライタの開発を進める」というucode認定の目的を説明し、無線ICチップの標準化を進める考えを示した。

 また、2004年は無線ICタグを利用した実証実験を約30ほど行ってきたが、来年はこれを100にまで増やす計画を示し、「そのためには認定チップの種類が増えることが重要」と述べ、無線ICチップを手がけるベンダーにucode認定への参画を促した。




URL
  株式会社日立超LSIシステムズ
  http://www.hitachi-ul.co.jp/
  ユビキタスIDセンター
  http://www.uidcenter.org/
  プレスリリース(PDFファイル)
  http://www.hitachi-ul.co.jp/public/jp/news/2004/041206.pdf

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( 朝夷 剛士 )
2004/12/07 16:54

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