NTTアドバンステクノロジ株式会社(NTT AT)は、ITを利用した災害対策における同社の取り組みを、12月10日に行われたプレス向け説明会で披露した。
2004年は大規模な地震や台風などの自然災害による被害が大きかったため、地方自治体などが防災対策に本格的に取り組む動きが広がっている。その中でITが生かされる場面も年々広まってきている。例えば新潟県中越地震において、必要とする救援物資やボランティアをWebサイト上に掲載することや、携帯電話の伝言ダイヤルやメールを活用した安否情報の確認などがそれにあたる。
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ポケットエナジーマルチ
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環境システム事業ユニット 主幹担当部長 新居亨一氏
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しかしライフラインの寸断により、ITを活用する上で欠かせない電気が使えないとこれらを利用することができなくなる。送電がストップしている時にこそ情報入手や伝達に急を要する場面もあり、復旧までの間に対応できるソリューションが求められる。
NTT ATの「ポケットエナジーマルチ」は、携帯電話やPDAなどへの電源供給に対応した太陽電池入力型電源だ。7月より一部の量販店でテスト販売が開始され「これまで約1,000台を出荷した」(環境システム事業ユニット 主幹担当部長 新居亨一氏)という。また、新潟県中越地震において60台が長岡市に送られ、利用された。
ポケットエナジーマルチは、小型軽量(61×98×14mm 重量約100g)の電源部分と、キーボード搭載PDAサイズ(91×150×23mm 重量約220g)のソーラー発電部で構成され、太陽光で充電した電力を、出力8W以上で供給する。ノートPCには不足だが、携帯電話やPDAの充電が可能だ。晴天時は約2時間で携帯電話の充電が可能、4~5時間で電源部分のフル充電ができるという。また、太陽光で充電しながら電力の供給も可能だ。製品にはPDC型携帯電話用接続ケーブルが付属し、オプションでFOMA用ケーブルも用意されている。なお、電源本体部の充電は、オプションを利用することでACアダプターやUSBからの給電も可能だ。
「本来は災害対策用に作られたもの」(新居氏)だが、ビジネスや個人用途でも活用シーンは多く考えられる。同社では2005年にも本格販売を予定しているとのこと。価格はオープンプライスで、実売は24,000円前後。
このほか同社では、電力供給が不要で長距離伝達が可能な光ファイバーを利用して地面のゆがみを計測する防災インフラの構築や、災害時の情報伝達や核災害対策本部の連携を支援するシステムの構築も手がけており、2005年以降これをさらに強化するとしている。
■ URL
NTTアドバンステクノロジ株式会社
http://www.ntt-at.co.jp/
ポケットエナジーマルチ製品情報
http://www.keytech.ntt-at.co.jp/environ/prd_5007.html
( 朝夷 剛士 )
2004/12/10 19:02
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