日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は、2004年12月に発表したブレードサーバーを中心とするシステム「HP BladeSystem(以下、BladeSystem)」の戦略や製品・サービス体系を1月17日に発表した。
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エンタープライズストレージ・サーバー統括本部 インダストリースタンダードサーバ製品本部 本部長 上原宏氏
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BladeSystemの4つのキーワード
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BladeSystemは、同社のブレードサーバー製品をベースに、仮想化技術や管理ソフトウェア、サービスなどを組み合わせて提供し、ユーザーがビジネス環境の変化に柔軟に対応する企業となることをサポートする「アダプティブエンタープライズ戦略」を具現化するというソリューション。同社は今年、このBladeSystemを「エンタープライズ事業の最重要製品と位置づける」(エンタープライズストレージ・サーバー統括本部 インダストリースタンダードサーバ製品本部 本部長 上原宏氏)方針だ。
エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリースタンダードサーバ製品本部ビジネスプラニング部 部長の橘一徳氏は、BladeSystemの特徴を「“モジュール化”“統合管理”“仮想化”“自動化”の4つのキーワードを適用して、ユーティリティコンピューティングを実現する」と説明。従来の事業部ごとに分離した垂直統合型システムから、IT基盤の共通化によってビジネスプロセスを統合し、同時にシステム全体の稼働率を上げ管理環境を整備することができるという。
モジュール化は、ハードウェア・ソフトウェア・サービスなど、BladeSystemの構成要素に適用される。ユーザーの規模や用途に合わせて必要なものを組み合わせてシステムを構築し、使用環境やシステム負荷の変化に応じて迅速に対応できるという。例えば、Webサーバーにおいてアクセスが急増して負荷が高まったとき、必要数のブレードを追加することで対応する。この際、管理者による複雑な設定を必要とせず、下記の統合管理ソフトウェアによってシステムが自動的に使用可能な状態にする。さらに追加するブレードサーバーをユーザーの手元に置いておき、稼働を開始した時点から従量課金するといった「富山の薬売りのような」サービスを提供する。
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System Insight Managerによりシステム全体を統合管理が可能
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BladeSystemの全体像
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統合管理・仮想化・自動化を実現するのは、統合管理ソフトウェア「HP System Insight Manager」。最新バージョンの4.2よりブレードサーバーをベースとするハードウェアコンポーネント全体の管理が可能となる。さらに有償にて、パフォーマンス管理・システム配備(2005年上半期提供予定)・仮想サーバーの構築(2005年上半期提供予定)に対応するプラグインモジュールが提供され、これらを1つのコンソールから一括管理が可能となる。「一括管理環境を提供できるのがHPならではのバリュー。ブレードサーバーからブレードシステムとなる」(橘氏)。
このうち仮想化環境は、マイクロソフトの「Virtual Server」とヴイエムウェアの「VMware」の「業界標準の仮想化ソフト」(橘氏)に対応し、WindowsとLinuxなどの異なるプラットフォームで稼働するシステムの統合運用を可能とする。従来、対応するOSやバージョンの違いが原因でアプリケーションごとに異なるハードウェアを用意しなければならなかったところを、これによって集約・統合化できるという。同社は「1つのエンクロージャ(ブレードサーバーを収容するケース)に統合することで“スケールアップ”、ブレードサーバーによって柔軟に拡張できる“スケールアウト”を同時に実現する」と説明する。
このほか、BladeSytemの導入支援、トレーニング、サポート、そして追加リソースをオンデマンド・従量課金制で利用できるファイナンスサービス(2月より開始予定)を提供する。
同社ではBladeSytemのターゲットソリューションとして、主にWindowsにおいてエンタープライズアプリケーションへの対応とシステム統合、LinuxにおいてUNIXからのマイグレーションとHPC分野に展開するという。
ブレードサーバーが含まれるx86サーバー市場において、同社は2004年にNEC・デルに続くシェア3位の17.3%(IDC調査)。上原氏は「頭打ちとなっているx86サーバーにおいてブレードサーバーだけが大きく伸びている」点を指摘。また、ブレードサーバーの導入理由が密度重視から機能重視へとシフトし普及期に入っていることから、同社ではハードだけでなくソフト・サービスを含めたシステムとして提供することで他社と差別化を図り「ブレードサーバーで市場シェア30%を獲得する」(上原氏)ことを2005年の目標に掲げた。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
プレスリリース
http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2005/fy05-031.html
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( 朝夷 剛士 )
2005/01/17 19:24
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