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インテル、DDR2 533と7.1chオーディオをサポートし、グラフィックを強化した新Centrinoを発表


 インテル株式会社は1月19日、コードネーム“Sonoma”とされていたノートPC向けの次世代プラットフォーム新「Centrino」を発表した。

 新Centrinoは、CPUとして90nmプロセスで製造されるDothanコアのPentium M、PCI ExpressとDDR2 400/533に対応したIntel 915 Expressチップセットファミリ、無線LANチップのIntel PRO/Wireless 2200BG/2915ABGを組み合わせたノートPC向けの次世代プラットフォーム。

 あわせて発表されたCPUは、FSB 533MHzとなるPentium M 770(2.13GHz)/760(2GHz)/750(1.86GHz)/740(1.73GHz)、FSB 400MHzの超低電圧版Pentium M 758(1.5GHz)/Pentium M 753(1.2GHz)、Celeron M 370(1.5GHz)、超低電圧版Celeron M 373(1GHz)の各製品。

 通常版Pentium MのTDPはいずれも27W、動作電圧は1.260V~1.356V。770のみ電圧上限が1.372Vとなる。Celeron Mは21Wで1.260V駆動。超低電圧版はPentium M 758が10W、1.116V、Pentium M 753とCeleron M 373が5W、0.940Vとなっている。

 915チップセットファミリは、PCI Expressと7.1chオーディオをサポートしたほか、これまでのCentrinoとくらべ、内蔵グラフィックの性能が、同クロック時で約95%向上している。ファミリとしては、デュアルチャネルとFSB 533MHzにも対応し、オンボードグラフィック内蔵の915GM、グラフィック非搭載パッケージサイズが27mm四方と小さな915PM、DDR2 400シングルチャネルのみ対応でグラフィックを内蔵する915GMSの3つに加え、DDR2 400デュアルチャネル対応、グラフィック内蔵の910GMLが発表されている。

 なおCeleron M、910チップセットをの搭載製品はもちろん、無線LANチップであるIntel PRO/Wireless 2200BG/2915ABGを非搭載の場合には、いままで通りCentrino製品とはならない。

 Intel PRO/Wireless 2200BG/2915ABGは、新たにIEEE 802.11iとWPA2をサポート。Intel PROSet/Wireless ソフトウェアも9.0へとバージョンアップされ、Bluetoothとの混在環境において設定がより容易になっている。


90nmプロセスのDothanコア「Pentium M」 「Intel 915 Expressチップセットファミリ」 「Intel PRO/Wireless 2915ABG」

インテル株式会社 代表取締役共同社長 吉田和正氏
 インテル株式会社 代表取締役共同社長の吉田和正氏は「2003年3月にCentrinoを発表してから、ノートPCを取り巻く無線LAN環境が大きく変わった」とした。ホットスポット数は約6倍に、無線LAN搭載PC出荷量は100%の成長率になったとし、「これはノートPCの出荷成長率が5%のため、非常に大きな伸びといえる」とした。また無線LAN機器の利用率も、この2年間で一般・SOHO向けでは8%から倍増し、「2005年は最低でも17%、よければ20%を超える可能性もある」とした。

 そしてCentrinoの特徴である処理性能とバッテリ駆動時間の両立が、デジタルホームに適した環境になってきたと同時に、「実際に数値化されているとおり、オフィスの生産性向上にも寄与する」とした。2年間での企業向けの伸びは一般向けより低い1.5倍だが、企業導入で障害となるセキュリティ面についても、IEEE 802.11iとWPA2を新たにサポートしている。


インテル株式会社 取締役 マーケティング本部長 ケビン・セラーズ氏
 インテル株式会社 取締役 マーケティング本部長 ケビン・セラーズ氏は、新Centrinoの各種ベンチマークを紹介した。FSBが従来の400MHzから533MHzへと向上しており、MobileMark 2002では、いずれも1.6GHz駆動のPentium M 725(FSB 400MHz)、730(FSB 533MHz)を用い、従来のCentrinoで採用されていたIntel 855GMEと比較して、バッテリ駆動時間を保ったまま約5%、さらに新CPUであるPentium M 770ではわずかに駆動時間が短くなるものの、約12%性能が向上している。

 また内蔵グラフィックについては、3DMark 2001 SE Proで比較した場合、同じくPentium M 725と同730の比較で91%もの性能向上を果たしている。同氏は「特に国内コンシューマ市場では、世界をリードしたユーザーからの要求がある。3Dゲームなどもモバイル環境で楽しめる」とした。オーディオについても、従来のAC97から機能強化し、96KHz、ドルビー7.1chサラウンドでのオーディオ再生に対応している。

 無線LANのセキュリティ強化については、新バージョンの管理ソフトウェア「Intel PROSet/Wireless Ver 9.0」で、これはCisco Compatible Extension Ver.3の認定も受けている。また新機能として接続障害ウィザードの「インテル ワイヤレス トラブルシュータ」も追加、アクセスポイント表示のUIなども変更されている。同氏は「IT管理者の無線LAN運用の手間を軽減できる」とした。なお管理ソフトはOEM供給先が利用を選択できるため、ノートPCの製造元が独自の無線LAN管理ソフトを搭載する場合もある。


旧Centrinoとの比較では、同クロックで5%程度性能が向上している グラフィック性能は大幅に強化されており、「FF XIオンライン」も公式サポートする 管理ソフトでは、各アクセスポイントの電波状況もアイコン表示する

 なおインテルでは、発表時に80機種以上、2005年半ばまでに150機種以上のノートPCがパートナー各社より発売の予定としている。新Centrinoを採用したノートPCは、ソニー、デル、東芝、NEC、シャープ、エプソンダイレクトの各社からあわせて発表された。また日本IBM、日本HPも参考出品を行っていた。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2005/050119a.htm

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( 岩崎 宰守 )
2005/01/19 13:45

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