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マクデータのカントリー・マネジャー、石本龍太郎氏
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マクデータ・ジャパン株式会社(以下、マクデータ)は1月19日、エンタープライズ向けSANスイッチ「Intrepid i10K」を発表した。またすでに発表済みのSANルータ「Eclipse SAN Router2640」(以下、Eclipse 2640)の販売も開始する。Intrepid i10kはEMCジャパンと日本アイ・ビー・エム、国内ベンダ1社(予定)へOEM提供されるほか、ネットマークスがMcDATAブランドで販売する。またEclipse 2640も、代理店経由で販売される予定。
マクデータのカントリー・マネジャーである石本龍太郎氏によれば、日本のSANはダイレクタ(大規模向けSANスイッチ)を用いたものは少なく、小型のSANが多いという。このため、「規模を拡張できる仕様になっていなかったり、ディザスタリカバリの機能を持たせることが難しかったりする」(石本氏)。また、個々のSANアイランドを統合しようとしても、スイッチに互換性がないため個別に管理しなくてはならず、それが管理コストに跳ね返ってくるという点も指摘した。
そこで、マクデータではGlobal Enterprise Data Center(GEDC)という概念を提唱し、これをサポートするための製品として、Intrepid i10kとEclipse 2640をリリースした。この場合、Intrepid i10kは小型のSANを統合するバックボーンダイレクタとして、主にローカルでの利用が想定されている。またEclipse 2640は、IPネットワークなどを利用し、海外を含めた遠隔地にある個々のSANアイランドを統合するルータとして用いられる。
マクデータではこれまで、ダイレクタのIntrepidシリーズと、中規模向けのSANスイッチである「Sphereonシリーズ」、ゲートウェイのEclipseシリーズによる階層型のアーキテクチャを提唱していたが、今回の製品群によって、これらの上に新たな階層である「バックボーン」の層を追加した形だ。
■ 256ポートのFCインターフェイスを備えた大規模SAN用スイッチ
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Intrepid i10K
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Intrepid i10kは、256ポートのFC(ファイバチャネル)インターフェイスを備えるダイレクタで、1/2/10GbpsのFCをサポートする。同製品では、1つのダイレクタを論理的に分割するパーティショニング機能を備えており、それぞれが論理的に完全に独立して動作するため、1つの筐体内で最大4つの異なったSANの運用が行える。パーティショニングは、動作中であってもラインカードごとに設定を変更できるため、急な構成変更にも容易に対応でき、またバックボーン用途を想定しているため、可用性も十分に確保されているという。なお、将来的には4GbpsのFCもサポートする予定だ。
一方のEclipse 2640は、12基のFC兼Gigabit Ethernetポートと、4基のインテリジェントGigabit Ethernetポートを搭載するSANルータ。IP-SANプロトコルは、iSCSIだけでなくiFCPをサポートしており、「(IP経由で)独立したSANを接続できる。各SANはあくまで独立したままで相互接続されるので、FCスイッチ側でのモードやゾーニングの変更は不要。1つのSAN内で発生したトラブルは、ほかのSANへは波及しないというメリットもある」(シニアコンサルタント・システムエンジニアの山田祐輔氏)。
さらに、Eclipse 2640はマルチベンダに対応していることが特徴。マクデータ製のスイッチだけでなく、BrocadeのSilkWormやQLogicのSANBoxなどとのインターオペラビリティを備えているため、既存の設備を有効活用できる。
また管理ソフトウェア「SANavigator」も、GEDCの重要な要素だという。山田氏は「一般にハードベンダの管理ツールは、自社製品にしか対応しないし、ファブリックの管理しかできない。一方で(対応の幅が広い)ISVのソフトは、高価で使いにくい」と述べ、BrocadeやEmulexをはじめ、競合ベンダの製品まで管理可能なSANavigatorのメリットを強調した。
こうした展開を進めるマクデータだが、同社では、現在ストレージベンダが競って提供中の仮想化ソリューションを、まだ明確な形で提供していない。これに対して山田氏は、「GEDCはこれですべてではなく、現在のソリューションではあくまで入り口に立ったに過ぎない」と述べた上で、「今の競合ベンダのソリューションでは、個々のSANの中が仮想化されるだけで、全体としては独立したまま。仮想化されたSANが複数できても効果は薄い」と主張した。同社では今後、仮想化などのサービスのファンクションを同社製品へ追加し、本当の意味でのGEDC、「場所を問わずユーザーが求める情報へセキュアに、簡単にアクセスできるストレージインフラ」の完成を目指すとしている。
なお、Eclipse 2640では他社製機器をサポートしているので、場合によってはそれらとの間で障害切り分け作業を行う必要が生じる。マクデータはほぼ100%間接販売のため、1次サポートを販売店が提供し、2次サポートを同社が提供する形になるが、石本氏は「(他社製品が絡むケースでも、まずは)今の体制でサポートできると考えている。しかし、今後は独立系のサポート会社との関係を強化する必要も生じてくるだろう」と述べた。
マクデータでは、2006年までに国内でのトータルシェア40%、ダイレクタ分野でのシェア85%を目標として、これらの施策を展開していく意向だ。
■ URL
米McDATA(英語)
http://www.mcdata.com/
プレスリリース(英語)
http://www.mcdata.com/about/news/releases/2005/0118a.html
( 石井 一志 )
2005/01/20 11:46
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