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日本HP、効率的なデータ管理を支援するILM関連製品群を投入


ILM(情報ライフサイクル管理)の考え方

ILMアナリシスサービスで提供する可視化のイメージ
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は2月22日、階層型ストレージ管理ソフト「HP StorageWorks File System Extender 3.1」(以下、FSE)と、ILM(情報ライフサイクル管理)導入前に、企業のデータ管理状況を診断する「HP ILM アナリシスサービス」を、3月より順次提供開始する。また、ユーザーが利用可能な検証施設「RISS/ILMコンピテンス・センター」を、日本HPの市ヶ谷事業所内に開設する。

 ストレージ関連ベンダでは、効率的にデータを管理しコストを削減する手法として、ILMを提唱しているところが増えてきた。ILMでは、よく使用されるファイルは高価だが高速なFC(ファイバチャネル)ストレージ、時間が経過して使用頻度の落ちたファイルは安価なシリアルATA HDD/テープを利用するニアラインストレージ、といったように、価値に応じてデータのすみ分けが行われることを目指すもの。また情報の価値は一定ではなく、時間とともに変化することが多いことから、配置を固定せず、その時々によって最適なストレージに移動させられるようにすることが求められている。

 実際、「FCのようなプライマリストレージとテープとでは、最大で60倍ほどかかるコストが違う」(エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージ・ワークス製品本部の大内剛氏)ため、うまく運用できれば、ILMは大きな効果をもたらすことが可能だ。しかし前述したように、「情報の価値」を的確に把握する必要があるため、ILMは明日から簡単に導入できる、という性格のものではない。

 そのため日本HPでは、HP ILM アナリシスサービスを新たに提供して、ILM導入のための前段階となる企業の現状分析を、可視化によって支援する。同サービスでは、HP同時の分析ツールをファイルサーバーに入れ込み、収集したデータをグラフ化して提供するとともに、どのように最適化すればよいかを提言するという。対象はWindows Serverを用いたファイルサーバーで、価格は20万円から。


エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージ・ワークス製品本部、渡辺浩二本部長
 またFSEは実際にILMを導入した後、「重要度や使用頻度によって、ストレージ間でデータを移動させる」(エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージ・ワークス製品本部、渡辺浩二本部長)ソフト。FCなどのプライマリストレージとニアラインストレージ間で、定義されたポリシーに従って、自動でデータを移動できるようにする。自動化によって管理者の負担を軽減するとともに、最適なストレージにデータを配置することによって、コストの削減を効果的に行えるようにする。

 ソフトは、プライマリ側に入れ込むFSEクライアントと、ニアライン側で用いるFSEサーバーからなる。FSEクライアントは、自らのストレージ内にある移動ポリシーに適合したファイル(例えば、一定時間書き換えも参照もされていないものなど)をFSEサーバーに移動するとともに、ヘッダ情報を残してストレージから削除する。もし削除後に該当ファイルへアクセスが発生した場合は、移動先から自動的に復元して、ユーザーへ提供する仕組みだ。

 FSEクライアント/サーバーは別のシステムにインストールしてネットワーク経由で移動と復元を行えるほか、同一のシステムに接続された別種のストレージを割り当てることも可能で、用途に応じて構成の形態を選べるとのこと。またオプションにより、一度作成したファイルを変更できないようにするWORM機能の追加も行える。FSEの価格は403万4100円から。

 また日本HPでは同時に、メールアーカイビング・検索ソリューション「HP StorageWorks Reference Information Storage System」(以下、RISS)の新版と、4Gbps FCに対応したスイッチ「HP StorageWorks SAN Switch 4/32」の各製品も発売した。

 RISSは、日本HPが推進している新アーキテクチャ「ストレージグリッド」を応用した製品で、ストレージにメールを保存するとともに、独自のインデックスデータベースを構築することで、高速なメール検索を可能にするもの。今回は、ストレージ容量1.7TBの製品が提供される。価格は1995万円から。

 一方のSAN Switch 4/32は、最大32ポートのFCポートを搭載可能な、FCスイッチ。最小16ポートからスタートし、ビジネスの拡張に応じてポートを増設できるポート・オン・デマンド機能に対応した。また4GbpsのFCに対応しながら、従来の2Gbps製品と同等以下の低価格を実現したという。価格は273万円より。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2005/fy05-052.html

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  ・ 「10億通のメールを3秒で検索する」、日本HPの新ストレージシステム(2004/10/07)
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( 石井 一志 )
2005/02/22 18:30

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