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竹中工務店のサーバールームを支えるAPCの“物理インフラ”


竹中工務店 東京本社新社屋

APC 新規事業開発グループ部長 飯島康弘氏
 株式会社エーピーシー・ジャパン(以下、APC)は、サーバールームにおけるラックや電源、空調などのトータルソリューション「InfraStruXure」を、株式会社竹中工務店の2004年9月に建設された東京本社新社屋で採用されたと3月1日に発表した。

 同社屋のサーバールームに納入されたのは、集中UPSである30kW三相UPS×1台、分電盤×1台、ラック搭載型タップ×36本、ラック26本、および遠隔監視ツールなどネットワーク対応製品。配備されているシステムは、すべて大阪にある本社よりリモート管理されている。

 業務のITへの依存が高まるにつれ、ITインフラの冗長化やデータ保全の必要性が増し、ほとんどの企業ではサーバーやストレージ、ネットワークインフラの冗長性を高めたり、定期的、あるいはリアルタイムのバックアップが行われている。しかし、それらの基盤となる電源や空調、ラックなどの物理インフラへの意識は低い場合が多い。APC新規事業開発グループ部長の飯島康弘氏によると、電源装置の故障や機器・ケーブルの過密化が原因による熱暴走など、物理インフラに関する障害がトラブルの原因となるケースが、全体の約60%にのぼると指摘する。

 InfraStruXureは、UPS、バッテリ、分電盤、空調機器、遠隔管理ツールなどがモジュール化され、システムに応じてカスタムメイドが可能なほか、ラックやモジュール単位で拡張・分散が可能なことを特徴としている。ラックに拡張性をもたせることで、機器数に合わせた環境を容易に構築することができる。

 飯島氏によると、サーバーベンダーは19インチラックに対して、(1)前面からの吸気を妨げないフロントドアの高い開口率、(2)排気を妨げない十分なケーブルスペース、(3)排気が回り込まないラック構造、(4)吸気口の温度を常に28度以内に保つこと、を要求しており、これらを満たすことで十分なエアフローを確保し、サーバーの正常稼働を保証しているという。機器に問題がなくても、それを設置する環境によって障害が起こる可能性が高まる危険性がある。

 新社屋では、メッシュ状の扉で64%の前面開口率を確保するとともに、奥行きが170cmと背面に余裕のあるラック「NetShelter」が採用されており、ケーブルなどがすべてラック内に収まり、搭載されるサーバー数や位置に合わせたPDUによって電源ケーブルの煩雑化を抑えるなどの工夫がなされていた。


新社屋のサーバールーム。Ethernetなどのデータケーブルは床下に、電源ケーブルは天井のダクトに分けられている ラック前面の床から冷気が吹き出し、サーバーに吸気される。また、照明がラックに合わせて配置され、作業しやすい環境となっている サーバーの配置イメージ。エアフローやスペースの効率化が図られている

 一方、サーバールーム内の機器すべてに電源を供給できる集中UPSの導入については、従来のサーバーごとに設置する小型UPSと比較して、信頼性や管理性などでアドバンテージがあったものの、初期導入コストがネックとなった。しかし、ランニングコストで比較すると、集中UPSにアドバンテージがあり、約6年でトータルコストにおいて集中UPSが、小型UPSの分散設置を下回るとの試算できたことから、採用が決まったという。

 従来、物理的インフラの管理はビルマネジメントの領域で方式も異なり、IT部門と切り離されていた。しかしAPCではこれらをIT部門でも行えるように、「NCPI(Network Critical Physical Infrastructure:ネットワークに必要とされる物理的インフラ)」をコンセプトに、ITと共通言語による管理を提唱している。


分散UPSと集中UPSの違い ITと建築をトータルで管理する竹中工務店のITソリューション部門


URL
  株式会社エーピーシー・ジャパン
  http://www.apc.co.jp/
  株式会社竹中工務店
  http://www.takenaka.co.jp/

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( 朝夷 剛士 )
2005/03/01 20:41

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