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米Microsoft、ストレージソフトDPSで「ハイエンド技術を中小向けにも提供する」


米MicrosoftのWindows Server&Toolsジェネラルマネージャ、ラケッシュ・ナラシムハン氏

DPSの運用イメージ
 マイクロソフト株式会社は3月7日、プレス向けセミナーを開催し、米MicrosoftのWindows Server&Toolsジェネラルマネージャ、ラケッシュ・ナラシムハン氏が、2005年後半に発売を予定しているバックアップソフト「Data Protection Server」(以下、DPS)の説明を行った。

 ナラシムハン氏は、テープドライブが主要な機器として利用されている現状のバックアップ/レストア環境について、「バックアップは複雑で時間がかかる。またレストアも信頼性が低く、42%の企業が過去数年間に失敗を経験するほど。時間も、一般的な復元に数時間から数日かかる状況だ」と述べ、実用的でないと主張。レストアに要する時間、コストの削減、信頼性の向上には強いニーズがあるとした。

 そこでDPSでは、ディスクベースのバックアップ環境を構築することで、課題を解決しようとしている。DPSでは、Windows Server 2003もしくはWindows Storage Server 2003(以下、WSS 2003)をプラットフォームとするDPSサーバー構築用ソフトと、運用中のWindows Serverへ入れ込むエージェントソフトから構成されており、ネットワーク経由で運用中のサーバーからDPSサーバーへデータをバックアップする。

 実作業に際しては、更新された部分だけをバックアップする差分バックアップに対応。DPSサーバー側ではVSS(Volume Shadow Copy Service)でスナップショットを定期的に作成し、「金曜日分」「木曜日分」といった世代管理を行えるが、バックアップ間隔は日・月単位だけでなく、時・分単位でも設定可能で、データロス時間を短縮できるという。バックアップ元のOSは、Windows Server 2003/2000 Serverと、WSS 2003、Windows Powered Network Attached Storageに対応する。

 一方レストア時のメリットとしてナラシムハン氏は、「ディスクベースならではの迅速な復元」を挙げた。また複数のスナップショットを取っているため最適な地点からの復旧を行える点、管理者だけでなくユーザー自身でも必要なファイルのリカバリを実施できる機能などを説明。管理者の時間をいちいち消費しなくても、ユーザーがセルフリカバリが行えるため、管理コストを軽減できるとした。


 またバックアップ元のサーバーとDPSサーバーだけでシステムを構成することも可能だが、DPSではVSSを基盤とするAPIを用意し、サードパーティがこれを用いて自社のソリューションと統合できるようにした。これによって、サードパーティ製のバックアップソフトを用いて、DPSサーバーからテープストレージなどへさらなるバックアップを行うことも可能で、遠隔地へのオフサイト保存などに対応できる。

 こうした機能だけを見てみると、別にDPSは目新しいものではないように思える。しかしナラシムハン氏は「当社では、ハイエンドの機能を中小から大手企業まで幅広く、適正価格で提供できる」と、マイクロソフトがストレージソフトへ参入する意義を語る。また、「DPSは中規模以下のデータセンター、5~50台規模のサーバー環境での使用を想定している」(サーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server製品部 シニアプロダクトマネージャ、高田信純氏)ことから、ハイエンド製品向けが多い他社の既存製品とはすみ分けができるだろうとしている。

 なお冒頭でも記述した通り、DPSの発売は2005年の後半とまだ先だが、ベータ版が来月より提供される予定で、当初は日本語版と英語版/独語版の3種類が用意されるとのことだ。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  DPS
  http://www.microsoft.com/dps/

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  ・ 米Microsoft、2005年にもディスクベースのバックアップ/リカバリ市場に参入(2004/09/28)


( 石井 一志 )
2005/03/07 17:24

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