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富士通、ストレージ仮想化機能を備えたFCスイッチソリューション


ETERNUS VS900

ETERNUS VS900の導入イメージ。同製品と、ミドルウェア「Resource Coordinator」の連携によって仮想化を実現する

経営執行役でストレージシステム事業本部長の利根廣貞氏
 富士通株式会社は、SAN環境におけるストレージの仮想化に対応したスイッチ「ETERNUS VS900」を、5月31日より販売開始すると発表した。価格は1400万円(税別)からで、6月30日の出荷開始を予定している。

 VS900は、2Gbps対応のFC(ファイバチャネル)ポートを16基備えたSANスイッチで、ブロケードのハードウェアをべースに開発された。今回富士通では、同社のミドルウェア「Systemwalker Resource Coordinator」との連携によって、このスイッチ経由で接続したストレージの仮想化を実現した。運用に際しては、サーバーの設定やドライバソフトを新規で組み込むことなく、仮想ストレージを利用できるという。なお同ミドルウェアは、サーバーやネットワークの運用管理を行うSystemwalkerシリーズの1製品で、VS900の出荷と同時期に、仮想ストレージの管理に対応した機能が拡張される。

 「ストレージの仮想化」とは一般に、複数のストレージを1つの大きなストレージであるかのように見せかける技術のことを指す。これが実現すると、ユーザーはハードウェアを意識することなくディスク管理を行えるようになるため、管理の効率化を図れる。また、ボリュームの空き容量を共通化できることから、ストレージ使用率を向上させることも可能だ。

 現在、こうしたストレージの仮想化は、サーバー側に仮想化の機能を持たせる方式と、ストレージアレイにその機能を持たせる方式の2つが主流というが、富士通ではそのどちらでもなく、SANスイッチに仮想化の機能を搭載した。この理由について、ストレージシステム事業本部 ストレージソリューション事業部 事業部長、松島等氏は、「ネットワークの上で仮想化をすれば、サーバーやストレージによる縛りがなくなるから」と説明する。

 サーバーやストレージアレイそのものに仮想化の機能を持たせる場合では、すでにユーザーが保有しているサーバーやストレージからの買い替えが必要になることが多く、また性能や拡張性ということでも、仮想化機能を持つサーバー、ストレージの限界によって制限を受けてしまう。しかしVS900の場合は、スイッチ自体に高速な処理を行えるASICを組み込むことで、拡張性と性能を両立できるとした。

 現在、VS900で仮想化できるストレージ、対応可能なサーバーは富士通製のものに限られているが、「仮想化は富士通だけ、というわけにはいかない」(松島事業部長)ことから、ほかのプラットフォームにも対応を広げる予定。サーバー側は、PRIMEQUESTやPRIMEPOWER、PRIMERGYなどの富士通製品に加え、年度内にも、「AIXやHP-UXを搭載した他社製サーバーをサポートする」(経営執行役でストレージシステム事業本部長の利根廣貞氏)ほか、ストレージ側も、日立、EMCなどに対応していくとしている。

 顧客に関しては、「冗長構成にして、ソフトを入れると3000万円を超える価格になるので、相応の規模を持つところを想定している」(利根事業本部長)とのことで、キャリアやxSPなどを主な対象として、年間100システム程度の販売を見込む。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  ニュースリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2005/05/31.html

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  ・ 富士通に聞く同社の最新ストレージ製品 [後編](2004/06/15)


( 石井 一志 )
2005/05/31 18:02

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