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日立、基幹システムへの適用拡大に向け「BladeSymphony」を強化


BladeSymphony

執行役常務 情報・通信グループ 副グループ長 篠本学氏
 株式会社日立製作所は5月31日、ブレードサーバー、ネットワーク、ストレージといったITリソースを集約・統合したプラットフォーム「BladeSymphony」において、基幹システム用途向け機能を強化したと発表した。また、これに関するパートナーとの新たな協業を発表し、さらに拡大を目指すプログラムを発表した。

 BladeSymphonyは、オープンアーキテクチャの各種ITリソースを統合し、それぞれを連携・最適化することで複雑性を解消する「統合オープン」を目指したプラットフォームで、同社が2004年9月より展開を始めている。同社執行役常務 情報・通信グループ 副グループ長の篠本学氏によると「データベースからWebまでカバーする、業界で最も適用範囲の広いブレードシステム」であり、「基幹業務に適した高性能、高信頼性、高可用性」を実現するとしている。

 今回の機能強化では、主に基幹業務用途での利用促進に向け、サーバーの性能向上や、仮想化技術を用いたリソースの有効利用、管理機能の強化による運用性の向上などが図られ、さらにEM64T対応Xeon MP搭載の新ブレードサーバーモジュールを提供する。



「業界初」のテクノロジーを搭載し、機能や信頼性を向上

エンタープライズサーバ事業部長 北野昌宏氏
 同社が「業界初」として優位性を強調するのが、「日立仮想化機構(仮称)」と呼ばれるItaniumと連動した独自開発の仮想化技術の搭載。これは、BladeSymphonyに搭載されるItanium 2上で、対応OSであるWindows、Linux、HP-UXの複数のOSを同時に動作させるというもの。エンタープライズサーバ事業部長の北野昌宏氏は「仮想的なハードウェアをOSに見せるハイバーバイザー型。メインフレームで培った仮想化組み込みソフトウェア技術を投入しており、低オーバーヘッドを実現している」と、ほかの仮想化技術との違いを説明する。この技術の搭載は2005年第4四半期中を予定している。

 また、BladeSymphonyの管理ツール「BladeSymphony Manage Suite」が強化され、経済産業省が推進する「ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト」の技術開発成果を適用し、接続する複数システムの一元管理が可能となった。システム構成情報を自動的に収集し、自動的に帳票を作成する「帳票管理の自動化」を実現するという。さらに、同時稼働する複数OSの一括管理も可能となっている。BladeSymphony Manage Suiteのシステム構成管理セットの価格は212万1000円。出荷開始は6月30日より。


日立仮想化機構(仮称)のイメージ BladeSymphony Manage Suiteの強化ポイント 3つのOSを1システム内で同時稼働

 同じく業界初というのが、PCI ExpressによるI/Oモジュールの提供。BladeSymphonyでは、プロセッサとI/Oが分離し、バックブレーンにPCI Expressを採用する構造となっているが、今回発表されたPCI ExpressのI/Oモジュールと、同社開発の4Gbps FCポート×2・1Gbps Ethernetポート×2のコンボカードを組み合わせることで、高速な帯域を確保することが可能となる。PCI Express I/Oモジュールの価格は21万円。出荷開始は9月より。

 さらに、EM64T対応Xeon MPを4基搭載可能なブレードサーバーモジュールを2005年11月より出荷開始する。これを利用することで、1シャーシあたり最大32基のCPUを搭載することが可能となる。価格は106万500円(EM64T対応Xeon MP GHz×1搭載)から。出荷開始は11月より。

 同社ではBladeSymphonyの強化とともに、パッケージ化したシステムを従量課金モデルでの提供や、基幹システムの構築においてあらかじめ検証を行った構成モデルを「スイーツ」として提供することで、導入コストの低減や短納期化するサービスの提供を順次開始する。


PCI Express対応I/Oモジュールとその周辺の特徴 統合システムを従量課金モデルで提供

協業ベンダーのネットワーク機器などをBladeSymphonyに搭載

 パートナーとの協業は、各社のネットワーク機器などをユーザーの要望に応じてBladeSymphonyに搭載し、サポートとあわせて提供する。今回発表されたのは、米F5 Networksのロードバランサ「BIG-IPシリーズ」、韓国NITGenのトラフィック管理ソフト「enpia Sシリーズ」、米BrocadeのFCスイッチ。いずれもBladeSymphony Manage Suiteで統合管理が可能だという。また、米Red Hatとも協業し、BladeSymphony上でのRed Hatの信頼性強化や、ツール・サービスの開発を推進する。

 さらに同社では、BladeSymphonyに関連するハードウェア・ソフトウェアベンダーに対し、「BladeSymphony統合オープンパートナープログラム」を実施し、インターフェイス仕様の公開や共同マーケティングなどによって、その開発・販売を支援する。2年間で約50社のパートナリングを目指す。


 同社では、BladeSymphonyの事業目標として、2006年度までに売上高1100億円、販売台数4000台、シェア25%を目指している。また、これらのような強化により「ブレードサーバーが基幹系サーバーとしても十分に利用できる信頼性を持ち合わせている」(篠本氏)ということを、アピールしていくとしている。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/05/0531.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/05/31 19:14

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