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NEC、“スパコンの技術”を転用したSAN対応ディスクアレイ


iStorage S4900
 日本電気株式会社は6月9日、SAN対応ディスクアレイ「iStorage S4900」を発表した。出荷開始は7月29日より。

 今回発表されたS4900は、ファイバチャネル(FC)ポートを最大128まで、FC対応HDDを最大1200台、257TBまで搭載可能な、大規模・大容量システムに対応したディスクアレイ。

 特長として、同社のスーパーコンピュータの技術を転用して開発された高速RAIDエンジンがある。この高速RAIDエンジンは、高速・並列RAIDパリティ演算器を内蔵しており、複雑なRAID演算を高速に処理できる。また、高速2重書きDMA機構により、スループット性能を7.5GB/sと同社従来機より3倍以上向上させたという。また、データ転送能力を192GB/sに高速化したクロスバースイッチを搭載。これにより、すべてのコンポーネントの二重化・冗長化、また多数のサーバー構成時でも高速アクセスを実現するとしている。


S4900のメモリモジュール部分。写真下部に6つあるのがクロスバースイッチ ホストアダプタ。FCポートが8つ搭載されている。最大16枚のホストアダプタを搭載可能 ディスクアダプタ。ピンク色で表示されているのが、RAIDエンジン

 機能面では、RAID-6により、RAID再構築時も冗長化を維持できるのが特長。これにより、2つのHDDが故障しても縮退が起きず、業務を継続することが可能となっている。また、ダイナミックプールにより、業務を継続しながらRAID容量を自由に変更できる。そのほか、特定HDDへの負荷が集中した場合、他HDDにデータを移動する性能チューニング機能なども用意されている。

 価格は3246万円(税別)より。同社では、年間100台くらいの販売を目標としている。


上が従来型手法での分析結果、下が学習型トレンド分析エンジンによる分析結果。予測平均値と予測上限を周期性も考慮して分析しているのがわかる
 発表会では、現在研究開発中の学習型トレンド分析エンジンも公開された。これは、ストレージ統合による大規模化によって発生する負荷の増大を分析する機能。既存の分析手法と大きく異なるのが、予測値を直線ではなく変動範囲を想定しながら分析する点にある。これにより、過去の負荷のばらつきから変動範囲を予測し、今後リソース不足が起こるであろう時点を的確に予測できるとしている。


執行役員の伊藤行雄氏
 同社執行役員の伊藤行雄氏は、ストレージシステム市場について、これまでデータベースなどの構造型データがストレージのニーズの中心であったが、ビデオやWeb、メールなどの非構造型データが爆発的に増大していると指摘。「構造型データと非構造型データに二極化されている」と述べ、同社のストレージ製品もこの二極化した市場にあわせて構成すると説明。今回発表されたS4900は、このうち大規模な構造型データを対象としたハイエンド製品。S4900について、伊藤氏は「分散したストレージを統合するのに最適な製品」と分散運用のデメリットを解消する製品であることを強調した。

 また、ストレージ市場の同社のポジションにも触れ、「国内での外付けストレージ出荷金額ベースで、9%程度と残念ながら第2グループに位置している。これを3年後には、第1グループに入れるよう、ストレージビジネスの拡大を図っていく」(伊藤氏)と、ストレージ事業を積極的に推進する姿勢を示した。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0506/0901.html


( 福浦 一広 )
2005/06/09 15:37

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