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日本HP、Efficeon搭載ブレードPCを用いたクライアント集中管理システム


ラックに収まったbc1000
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は6月21日、ブレード化したクライアントPC「HP bc1000 blade PC」(以下、bc1000)を用いて、PCシステムを集中管理するソリューション「HP Consolidated Client Infrastructure」(以下、CCI)を発表した。参考価格は、bc1000を100台用意した場合のシステム一式で、1400万円から。

 CCIは、データセンター内に“ブレードPC化”したクライアントPCを集約して、セキュリティの向上や運用コストの低減などを図るソリューション。bc1000はEfficeon TM8600 1.0GHz、512~1024MBのメモリ、40GB HDDなどを備えるPCをブレード化したもので、ユーザーは手元にあるシンクライアント端末からネットワーク経由でbc1000へアクセスして、その内部に再現されたデスクトップ環境で日々の作業を行う。bc1000とシンクライアント端末の間では、画面遷移情報とキー、マウスの入出力情報だけが、RDPプロトコルを用いてやりとりされる。

 このソリューションは、一見、クライアント環境をサーバーに集約するSBC(サーバーベースコンピューティング)と似ているが、1枚のブレードを1人のユーザーに割り当てて運用する点が異なるという。SBCでは、サーバーのリソースをどう割り当てるかなど、プロビジョニングに時間を取られてしまう面もあり、システム構築・管理の際の負担がある程度かかるとされているが、CCIではその負担はないという。

 また、「1対1対応のため、(同じサーバーを割り当てられた)隣のユーザーが重いアプリケーションを使っても、別のハードが割り当てられるので影響を受けないというメリットがある」(パーソナルシステムズ事業統括 デスクトップビジネス本部 平松進也本部長)。


ユーザーが利用するシンクライアント端末。OSにはWindows XP Embeddedを採用した bc1000のブレード1枚を取り出したところ パーソナルシステムズ事業統括 デスクトップビジネス本部 平松進也本部長

ダイナミック方式を利用する場合の、CCIの動作イメージ
 CCIの運用方法としては、1人のユーザーが必ず決まったブレードPCを用いるスタティック方式と、空いているブレードPCを動的に割り当てるダイナミック方式をサポート。ダイナミック方式では、F5ネットワークスのロードバランサーが空いているブレードにユーザーを割り当て、Active Directoryで認証を受けた後、ユーザー固有の環境が起動する仕組みを採用する。この際、ユーザーごとのデータは外部ストレージ(NASもしくはSAN)にまとめて格納されるが、OS(Windows XP Professional SP2。ライセンス的にはブレードPC向けのBlade Edition)とアプリケーション環境はあらかじめパッケージ化して、bc1000に格納しておくことになるという。

 ダイナミック方式を採用すると、すべての人員分のブレードPCを用意するのではなく、同時に使用されるであろう人数分だけを用意すればよいため、コストの節約が見込める。反面、あらかじめアプリケーション環境をパッケージ化しなくてはならないことから、個人個人に固有のアプリケーション環境を運用する必要のある場合には、このソリューションは向かないように思える。

 しかし、例えば「マーケティング」「営業」「経理」といった単位でグループ化して、その中で共通の環境を構築できる場合は、「マーケティングのグループに属するユーザーは、必ずマーケティング向けに用意されているブレードに割り当てられる」といった運用を行えるという。さらに、ブレードPCを導入した上で、MetaFrameをはじめとするSBCや、SoftGridなどのアプリケーション配信システムと組み合わせることによって、ユーザー固有のアプリケーション環境も、ある程度再現が可能だとのこと。もちろん、両方式を組み合わせた利用も可能という。

 代表取締役副社長 パーソナルシステムズ事業統括の馬場真氏が「昨年米国で発表されてから今日までに、国内でも100社を超える大手企業から問い合わせがあった」というように、現在、こうしたシンクライアント端末を用いたソリューションに対する関心は高くなっている。調査会社が発表しているリサーチでは、2008年までにデスクトップPC市場の10%をシンクライアント端末が占めることになると予測しているが、日本HPでは、さらに流れが加速すると見ており、個人情報保護法対応などを含めたセキュリティ面、管理コストの低減といった、クライアントPCの集中管理によって生まれるメリットを全面に押し出して、この分野で売り上げを伸ばしたい考えだ。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2005/fy05-126.html

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( 石井 一志 )
2005/06/21 20:41

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