株式会社日立製作所は7月12日、ミッドレンジクラスの外部ストレージシステム「SANRISEシリーズ」の新製品を発表、同日より出荷開始した。利用頻度やデータ容量が増大するERPやCRMなどにおいて利用されるストレージに、高レベルの管理機能や拡張性を提供する。
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新製品の位置づけ
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日立 情報・通信グループCOO 高橋直也氏
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今回発表されたのは、主にディスクアレイの仮想化機能を搭載する管理システム(バーチャリぜーションコントローラ)「SANRISE Network Storage Controller NSC55(以下、NSC55)」、4GbpsのFC(Fiber Channel)インターフェイスに対応するなど強化されたディスクアレイ「SANRISE Adaptable Modular Storage AMS500(以下、AMS500)」、搭載可能なディスクドライブ数が増加した「同AMS200(以下、AMS200)」、SATAディスクを採用するニアライン向け「SANRISE Workgroup Modular Storage WMS100(以下、WMS100)」。なお、同社のストレージ管理ソフトウェア「JP1/HiCommandシリーズ」が、今回発表された製品群に対応する。
NSC55には、同社のエンタープライズ向けストレージシステム「SANRISE Universal Storage Platform(USP)」に世界で初めて搭載されたという、ディスクアレイによる仮想化機能を搭載する。これにより外部ストレージを仮想的に1台のストレージとして最大16PB(ペタバイト)まで統合管理することができる。データ配置の最適化や遠隔地へのデータコピーによる災害対策などの高度な運用管理も可能。
NSC55による仮想化管理は、同社のSANRISEディスクアレイ製品のほか、他社のディスクアレイも対象とすることができる。また、NSC55の19インチラック内にコントローラのほか、最大120台(34.5TB)のディスクドライブやディスクアレイ、FCスイッチなどのストレージ関連機器を混在して搭載することもできる。また、2005年第4四半期には搭載可能なディスクドライブを2倍の240台(69TB)にするとともに、メインフレームやiSCSIプロトコルによるIPネットワークへの接続もサポートする。
価格は4312万823円から。同社情報・通信グループCOOの高橋直也氏によると、同社が掲げるDLCM(Data Life Cycle Management)ソリューションにおいて、NSC55はティア2(ティア1はUSP)に位置づけられるが、データ量の増加や重要性が急速に高まっているERPやCRMなどの用途にも、エンタープライズクラスの機能の必要性が高まってきており、NSC55をラインアップに加えることで「すそ野が広がる」としている。
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SANRISE Network Storage Controller NSC55
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日立のDLCMに向けたソリューション
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AMS500は、従来製品「SANRISE 9500Vシリーズ」の後継で、約2倍の速度となる4GbpsのFCインターフェイスに対応したほか、ハードウェア内部のデータ転送能力を約2倍とし、データの読み出し速度を最大2倍に高速化したという。最大容量は86.9TB。AMS200も従来の約8倍(39.7TB)搭載が可能となったほか、最大キャッシュ容量を2倍の最大4GBとするなど拡張性が高められた。価格はAMS500が388万2900円から、AMS200が257万400円から。
WMS100は、SATAディスクドライブを採用し、DLCMにおいてディア3に位置づけられる、バックアップやアーカイブ向けニアラインストレージ。最大で41.3TBまで容量拡張が可能。価格は156万4500円から(WMS100のみ出荷は8月末より)。
AMS500/200、WMSにはユーザーの利用も想定しているというウィザードによる設定ツールや、キャッシュメモリを業務ごとに分割して使用可能なキャッシュパーティションなどの機能も新たに備え、RAID 6をサポートしている。また、今後iSCSIにも対応を予定しているという。
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SANRISE Adaptable Modular Storage AMS500
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SANRISE Workgroup Modular Storage WMS100(左)と、SANRISE Adaptable Modular Storage AMS200(右)
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高橋氏によると、今回発表したミッドレンジクラスのストレージシステムで、ワールドワイドの同社ストレージ事業における売上目標(2800億円)の約3割を販売し、2006年には同市場でシェア10%(現8%)獲得を目標としているという。一方、エンタープライズクラスでは、2004年9月に発表したUSPが、これまでワールドワイドで1000台以上のシステムを出荷したとのこと。
なお、同社はNSC55などの発表とともに、販売パートナー向けに「SANRISE技術者資格認定制度」と研修プログラムを、10月より開始すると発表している。
■ URL
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
プレスリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/07/0712.html
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( 朝夷 剛士 )
2005/07/12 17:58
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