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富士通、「RFID化につながる」量販店向けセルフレジシステム
セルフチェックアウトシステムのカスタマーステーション
店員1人で4台のセルフレジを管理する
富士通 ユビキタスシステム事業本部本部長 神戸正利氏
富士通株式会社と富士通フロンテック株式会社は9月14日、小売店のレジにおける商品のバーコードスキャンや精算などを顧客自身が行うセルフレジシステム「セルフチェックアウトシステム」を発表した。10月3日から富士通より発売される。
セルフチェックアウトシステムは、従来店員が行っていた購入商品のカウントや精算を顧客自身で可能とするシステム。顧客はカウント・精算・商品の袋詰めを1度で行うことが可能なため買い物時間を短縮でき、店舗側はレジ業務にかかわる人件費などの運用コストを削減できるという。富士通ユビキタスシステム事業本部本部長の神戸正利氏は、銀行に例えて「流通店舗にとってのATM化」と説明する。
セルフチェックアウトシステムは、顧客がカウント・精算を行う端末「カスタマーステーション(CS)」が4台と、店員がついてCSの動作確認やエラー解除、イレギュラー対処などの操作・管理を行う「アテンダントステーション(AS)」1台がセットとなる。つまり店員1人でCS4台を管理する。価格はCS・ASのセットで1500万円から。同社では1セットあたり年間400~600万円のコスト削減できると想定している。
セルフレジシステムは、北米では1999年ごろから利用がはじまり、2004年度には累計4万7000台、2007年には25万台の導入が見込まれるなど「普及期に入る」(神戸氏)と予想されている。この中で富士通はシェア2位の36%(1位はNCRの44%、3位はIBMの19%)を占め、同社製セルフレジは全世界で約3500店舗1万7000台が稼働しているとのこと。日本では和歌山県に本社を置くスーパー「オークワ」にて2004年12月より先行導入した。
【お詫び:初出時に会社名を間違って記載しておりました。お詫びして訂正させていただきます。】
なぜ日本での稼働が遅れたかというと、欧米で使われているセルフレジをそのまま日本で利用することができなかったからだという。欧米では多くの消費者がカードで精算するのに対し、日本では現金精算が基本で、カードの利用率が10%前後と非常に低い。このため、現金挿入口の工夫や、釣り銭補充の頻度など、要求される機能が異なる。また、店舗スペースにも差があり、大型な欧米向けのセルフレジを日本の店舗に置くには無理があった。そこで同社は欧米でのノウハウやPOS・ATMの技術などを基に、日本向けに改良したコンパクトなセルフレジを開発した。
欧米向けよりコンパクトな日本向けレジ。硬貨と紙幣の挿入口と釣り銭口を近接するなどの工夫もある
商品を傾けずにスキャンできる「縦型2面スキャナ」を装備し、密封されていないパック商品などを傾けずバーコードを読み取れる
読み取った商品を袋詰めするところが量りになっており、正確にスキャンできず袋詰めされると、重さの変化を感知して再スキャンを促す
同社では量販店向け有人レーンPOSシステムパッケージ「Global STORE」を販売しており、これとセルフチェックアウトシステムとの連携が可能。店舗のレジを一気にセルフ式に置き換えるのではなく、購入アイテム数が多い顧客は有人レジ、少ない顧客はセルフといった具合に混在させて効率化を図るという。また、「他社のPOSシステムでも動作できるよう汎用性をもたせる」(神戸氏)としており、「すでに富士通・他社どちらのPOSを利用するユーザーから引き合いがきている」(同社)とのことだ。
さらに同社が開発しているRFIDを利用した次世代型商品管理システムとの連携も視野に入れているようだ。「商品全体にRFIDを入れることはまだ難しいが、タグの値段が下がることで高額商品からバーコードに置き換わってRFIDが入ることが予想される。セルフチェックアウトシステムにRFIDリーダーを搭載しハイブリッド対応とすることも可能で、こうした移行期も利用できる“RFID化のステップ”という位置づけともなる」(同社)。
同社では、国内量販店で稼働するPOSレジ25万台のうち、2007年度末にはスーパー、ホームセンターなどで約2%にあたる5000台がセルフ化すると予測、うち50%のシェアを獲得し売上高100億円を目標としている。なお、同時期北米では「レジの10%がセルフ化するのではないか」とのことだ。
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URL
富士通株式会社
http://jp.fujitsu.com/
プレスリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2005/09/14.html
( 朝夷 剛士 )
2005/09/14 18:03
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